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日替わり?!レアガチャ勇者様!  作者: 窓際ななみ
おうとのたたかいの章
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第二十八話 二人の共同作業!

 チンは切られた右手を左手で庇いつつ、目の前の侍女を恐ろしい形相で睨みつけていた。


「貴様、どうやって……私の術を解いた……!?」


 侍女の格好をしたアンゼリカは、相手を見下したような眼差しでチンを見つめる。


「あれ? 私を、死ぬほど痛めつけて操ろうとしたことを認めちゃうんだ? ……だそうですよ、グラニュー王子」


「! ……くっ……!」


 チンはしまったと左手で口を塞ぐが、既に大広間にいるグラニュー王子たちはもちろんの事、招待した客の何人かにも、今の会話を聞かれてしまっている。

 チンは、顔を俯けると笑い始めた。


「くっくっくっ……はっはっはっはっ……! ……いや全く……私が苦労してこれまで隠し通してきたつもりだったが、なかなか人間も馬鹿ではないようだったな……」

 チンは突然、切り落とされた右手を拾い、アンゼリカに投げつけた。


「往生際が悪いよ!」


 アンゼリカは、持っていた剣で叩き落とそうとするが、何かの力で操作されているのか、チンの右手は予想だにしない方向に飛んでく。アンゼリカが目で追うと、その進行上にはチョコレイト姫がいたのだった。


「ラミン様、その右手、姫を狙っています!」

 

 ラミンがチョコレイト姫を庇おうと前にでるも、後ろから誰かに強烈な突き飛ばしを食らってしまう。ラミンはすぐ体制を立て直し振り返ると、突き飛ばしたのは誰でもなくチョコレイト姫本人だった。


「姫! くそ……! やはり、洗脳されているのか!」

 

 チョコレイト姫は両手を広げ、その心臓を無防備にする。 チンの右手は、チョコレイト姫の心臓目掛けて一直線に向かっていった。


「はっはっはっ!まずは、姫から殺してやろう!!!」


 チン大臣が叫んだ瞬間、人混みの中から恐ろしい速さで駆け抜ける人影があった。その人影は、姫を抱きかかえると持っていた槍で、チンの右手を迎撃する。


「流石は、姫の騎士といったところか――」


 グラニュー王子は、その人影を見て安堵する。その人影は、アイスだった。アイスは、時が来るまで会場の外で待機していたのだが、何とか間に合ったようだ。


「チンよ、よそ見をするとは、余裕だな!」  


 右手を追撃され呆然としているチンの脇腹を、グラニュー王子は魔法により強化された足で蹴り飛ばす。

 チン大臣はそのまま大広間の窓を突きやぶり、外に放り出されれてしまう。グラニュー王子が、壊れた窓から周りを確認する。かなりの高さがあったにも関わらず、チンは王城の前庭でグラニュー王子を見上げていた。



*****



「こ……ここは……?」


「大丈夫ですか……、姫……?」


 チョコレイト姫は、アイスに抱きかかえられていた。周りの惨状を見て、ある程度事態を飲み込むと、チョコレイト姫はアイスに話しかける。


「……ありがとう、アイス」


 チョコレイト姫は、アイスの右手をそっと握る。

 横にいたラミンは、チョコレイト姫の額に手をかざす。


「アイス、応急処置だけど、姫様の暗示を緩和するようにしておいたよ」


「助かります、ラミン殿。申し訳ないですが、姫の護衛をお任せしても宜しいでしょうか?」


「えっ!?」

 

「私の姫にしてきたことを、騎士として許すわけにはいかない!」


 チョコレイト姫をラミンに預けると、アイスもまた大広間の窓を突きやぶり、外に飛び出していった。


「アイス……」


「彼なら大丈夫ですよ。さぁ早く安全な場所へ」


 チョコレイト姫は、ラミンと共に避難を開始する。


「アイス……死なないで下さい……」


 そして、チョコレイト姫は、アイスの無事を祈る。



*****



 王城の前庭では、グラニュー王子とチンが死闘を繰り広げられていた。


 チンの右手は、人間のものとは思えない狂獣のような巨大な爪のある手が生えており、グラニュー王子の剣を何度も受け止めていた。

 更に左手で、闇魔法で魔法攻撃も同時に行っていた。

 流石のグラニュー王子も、剣と魔法の同時攻撃では防ぐのがやっとで、チンに押されていた。


「……くっ!」


 チンの渾身の一撃が振り下ろされ、その巨大な爪がグラニュー王子を襲う。なんとか剣で受け止めるも、受け止められた剣を巨大な爪で掴まれてしまう。何とか外そうと試みるが、その隙を突かれ、至近距離で魔法攻撃を食らってしまう。


「ぐはぁっ!」


 グラニュー王子は、攻撃の衝撃で後ろに吹き飛ばされてしまう。


「他愛もない、こんな者が黄金の騎士か」


 グラニュー王子と戦って尚、チンには余裕があるようだった。


「王子、大丈夫ですか!」

「グラニュー王子!」


 窓から飛び出し、前庭にある巨大な木々を利用して、降りてきたアイスとアンゼリカが合流する。


「ア、アンゼリカ……!? お前生きていたのか!?」


 アイスは、アンゼリカの姿を見て驚愕する。


 まぁね、これもユウシャちゃんのおかげかな」

 

「ユウシャ……って、お前になついていた生物か?」


「そうそう! ちっちゃくても、ものすごい回復魔法で私を助けてくれたんだ。助けられた私もびっくりだよ。まぁ、詳しい話は目の前の敵を倒してからかな。」


「ああ、ただし気をつけろ、魔王の四天王ということは、想像以上の力を持っている。」


「分かっているわよ。黄金の騎士様と余裕もって戦っているんだもの。ヤバイってのは十分伝わったよ」

 

「いくぞ」

「ええ、こうやってアイスと組むのは5年ぶりね」


 二人はチンを挟み込むように二手に分かれて、攻撃を開始する。チンは、二人に対しても強靭で巨大な爪と魔法のコンビネーションで応戦する。

 しかし、二人も負けてはいなかった。5年の空白期間があったとは思えない二人の息の合ったコンビネーションの攻撃。アンゼリカが魔法を槍で弾くと、その隙をフォローしつつアイスの必殺の槍がチンに襲いかかる。

 チンは、何とか攻撃を裁きつつも、二人に押されていった。


「お、おのれ……私が人間如きに……!」


 二人の連続攻撃を裁くのが精一杯で、チンは次の一手を打てない状態だった。しかし、その均衡は直ぐに破れたのだった。

 チンの側面に、巨大な風の闇魔法が放たれる。二人のコンビネーションに気を取られ、その魔法攻撃にチンは気づくのが遅れてしまう。チンは咄嗟にその魔法攻撃を、巨大な爪で握りつぶす。しかし、その瞬間、アイスの槍がチンの腹部を貫いたのだ――!


「ガッ……!」


 膝を地面に着き、苦痛に顔が歪むチン。


「アイス! そこよ―――!」


 いつもは小声のザッハが、大声で叫んでいる。

 アイスとアンゼリカは、お互い目で確認しあう。


「いくぞ!」

「喰らいなさい!」


 二人の構えが同調すると、お互いの槍が共鳴し光り輝く――!


「ライトニング―ダブルスピア―――!」


 共鳴した二つの槍は、光り輝く一つの巨大な矛となり、地面に膝を付いているチンに放たれる。


「ちくしょーーーーーー!」


 チンは巨大な爪で何とか攻撃を防ごうとする。しかしその光り輝く矛は、寸分の狂いもなく巨大な爪ごとチンの心臓を貫いたのだった。

読んで頂きありがとうございます。

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