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第一話 勇者様ガチャ!

タイトルが少しだけ変更になりました。


また、文章の修正対応をなろう小説向けに現在行っています。

(未修整箇所は、少し読み難いかもしれません。ごめんなさい)

よろしくお願いいたします。

 これは、ガチャ魔法で異世界から召喚される勇者様と、三人の冒険者の愛と勇気の物語――。



*****



 そこは、一面に野草が敷き詰めあう、見通しの良い広々とした草原だった。明け方なので、辺りはまだ少し薄暗い。外気はまだ冷たく、薄っすらと霧が草原一帯に立ち込んでいた。


 しばらくすると、日が昇り始める。日の光は、霧の草原を光が照らし始めた。日の光は、草葉についた露に反射して一斉に輝きだした。それは、まるで大地が黄金色に輝いているかのような、そんな神秘的な美しい輝きだった。


「うわぁ……綺麗!」


 冒険者と思われる三人組が、その場でこの神秘的な光景を見渡していた。


 一番前を歩いているのは、一般的な男性冒険者よりも少し小柄な、金髪の髪の長い女。胸あたりの大きさは多少慎ましくも、女性らしいすらりとした体型の持ち主だった。顔に掛けている銀色装飾の眼鏡が、知的な印象を与えている。右手には、魔法や召喚に使うであろう杖が、握りしめられている。


 その女の後ろには、二人の仲間がついてきていた。

 一目で冒険者と分かる体格の良い短髪で銀髪の男と、子供と思えるくらい小柄で大人しそうな長い黒髪の少女だった。


 金髪の女が目を輝かせ、うっとりとした表情をしながら足を止め、この背景に酔いしれている。後ろの二人も、周りを見渡しながら、思い思いの感想を呟いていた。


「なかなかの絶景だな」

「……うん……この場所にして良かった」


「なんか、今日は当たりが出そうだわ!」


 金髪の女が両手を握り、嬉しそうな声を上げる。そして、持っていた杖を大地に突きつけ、何かの魔法の準備を行い始めた。後に続く二人は、その様子をその場で見守っていた。


「それじゃあ、行くわよ」


 準備ができたのか、金髪の女は後ろで見守っていた二人に声を掛ける。二人は、同時に頷いた。


「それでは、本日の私達の勇者様をお呼び下さい――!」


 大地に突きつけた杖の先端が輝き、七色の光を発しながら円を描き、魔法陣を展開する。

 その魔方陣は、この世界で使われている魔法陣とはかなり模様が異なっており、明らかに特殊で異質なものだった。魔法陣は一瞬更に光り輝き、地面に定着する。定着した魔法陣の模様は、鈍い不気味な青白い光を発していた。


「アイス、お願い!」


 詠唱していた金髪の女が、後ろの銀髪の男に話かける。


「わかったよ」


 そういうと銀髪の男が、懐に持っていた袋から硬貨を三枚取り出した。それは、銅で作られた、この世界の硬貨だった。ちなみに、銅貨一枚で冒険者一人分の一日の食費になるくらいの価値がある。


 銀髪の男は、銅貨三枚を握りしめると、それを勢いよく魔法陣に投げつける。三枚の銅貨は、青白い光に照らされ鈍く輝きながら、ゆっくりと地面に落ちていく。三つの銅貨が魔法陣の中に落ちた、その瞬間、銅貨は三人の目の前から忽然と消えてなくなってしまった。


 しばらくすると、魔法陣の上空に薄っすらと文字が浮かび上がってきた。

 そこにはこのように記述されていた。


【TOUCH!】


 この世界では見られない変わった形の文字。

 おそらく、異世界の文字。


 金髪の女は、すこし躊躇しつつもその文字に触れようとする。願望の眼差しを魔法陣に向け、悲しげな小声で何かを呟き始める。


「……お願いします……もうお金が無いんです……なけなしの銅貨だったんです!」

「……これが外れると、この討伐依頼が達成できなくなるんです!」


「神様! お願い!」


 金髪の女の手が、文字に軽く触れる。


 すると、魔法陣の上に、大人が潜れる程の扉が音もなく突然現れる。この世界の建物の扉とは違い、様々な模様と綺麗な装飾が施されている豪華といえる作りの扉だった。どこからともなく現れた無数の光が、くるくると色を変えながら扉の周りを激しく飛び回る。それは、これから起きる奇跡を暗示させるほどの眩い光景だった。


「なぁ、なんか様子おかしくないか? いつもより光が激しいような……」


 見守っていた銀髪の男が、疑問的な声を上げる。


「……いつもより綺麗……」


 黒髪の少女は、その光景を見ながら、そうつぶやいた。


「は……! これは、もしかしたら魔導書に書かれていた【確定演出】では!」


 金髪の女は、突然歓喜の声を上げる。


 魔法陣の光は、周りが真っ白になる程の輝きを放つと、その光は一瞬で消え去った。辺りは、何事もなかったような静寂に包まれている。

 すると、魔法陣の上に出現していた扉が、重く鈍い音を出しながら開かれていく。


 息を呑みながら、その扉を凝視する三人。特に今回は、いつもと扉の様子が違っていたため、三人の眼差しは期待に満ちていた。


 そして――。

 扉から一人の男が現れる。

 扉もまた一瞬で消え去ってしまう。


 扉から出てきた男は、短めの黒髪の少し若い青年のようだった。しかし、その恰好はここに住む住人の衣装とはかなり違い、かなり異質な格好ではあった。


 上半身は、薄手の白い布一枚のみの上服、下半身は少し黒みの掛った青色をした少し厚手のものを着ていた。見るからに、防御力は低そうだった。


「……な、なんだ……、ここは……!」


 黒髪の青年は辺りを見回しながら、驚愕の表情で声を上げていた。

 どうやら、少し混乱している様子だ。


 金髪の女は、そんな挙動不審の青年に優しく話しかける。


「どうか、落ち着いて下さい――!」


 青年は、声を掛けた金髪の女を見つめる。


「あなたは、本日の勇者様です! 神魔法、【勇者様ガチャ】によって、一日限定で、この世界に召喚されたのです!」


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