家無きゴースト
ギーン、ガッシャン。
ギーン、ガッシャン。
ガシャガシャがシャ。
何台もの重機が大きな音を立ててビルを壊していく。
「あーあ。また取り壊されちゃった。」
そう言いながら女の子は寂しそうに男の子の手を握った。
「どうするかなあ。また家無しに逆戻りだ。」
そっと女の子の手を振りほどき、男の子は腕組みをした。
不満そうに頬を膨らませた女の子はもう1人の大男を睨んだ。
「あんた次はもっと長く住める場所を探しなさいよ!役立たず!」
大男に向かってきつい口調で言う女の子。
大男は申し訳なさそうにうつむいた。
「ゴンジ、気にするな。お前のせいじゃない。俺らだって他に場所を見つけられなかったんだから。みんなの責任だよ。アマネも言い過ぎだぞ。元はと言えば、お前が人間にイタズラばっかするからいけないんだろ!」
男の子は大男の肩を優しく叩きながら女の子を睨みつけた。
「だって!あいつら私のことをお婆ちゃんの幽霊と勘違いしたのよ?あり得なくない!?こんなに可愛いのに。」
綺麗にカールした長い髪を指に絡めながら女の子は言った。
「とにかく!もうここにはいられない。取り壊されちゃったし、きっと近いうちに除霊されちまう。新しい場所を探さないとな…。」
そう言って男の子は空に浮かんだ。
「待ってツバサ!置いてかないで!」
続けて女の子も空へと上がっていった。
「いつまでうじうじしてるつもり!あんたも行くのよ!」
女の子に腕を引っ張られて大男も空へと上がっていった。