表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

Harbinger

作者: 黄泉戸喫

この短編は海外怪奇創作wiki「The SCP Foundation」を元にさせていただきました。読む前にこちらの設定や背景の把握することをお勧めいたします。

http://ja.scp-wiki.net/

http://ja.scp-wiki.net/scp-1281


なお、完全に内容は自己解釈を含む蛇足となっておりますので、嫌な方はブラウザバック願います。

─もう終わりだ


目の前の終わりに、我々は成すすべを持たない。



もはや我々が生きるこの「星」は死に瀕し、そこに生きる、数もわずかとなった我々も最期を迎えようとしている。打つべき手はすべて打たれた。すべての生き物が絶えたこの「星」で、この先我々を思い出すものはなに一つとしてないだろう。

「死」への恐怖がないわけではない。生きてきた時間の何もかもすべてが完全に消えてしまう、それを思うとどうしようもなく恐くなる。だが、いずれこの瞬間が訪れるのはわかりきっていたことだ。


それでも─



これは、我々の「最後の希望」。

遥か昔、我々の「星」に届いた『伝言』を今度は我々が託さねばならない。


「…“先駆け”よ、お前に任務を与えます。」


このあまりに広い宇宙で、我々はとても小さい存在でしかない。しかし、確かに我々は『伝言』を受け取った。我々がこうして存在しているように、この宇宙のどこかで「声」を上げている存在がいる。

我々が上げた「声」が届くかはわからない。それでも、我々の「声」を、我々が生きていた「証」を、そして次を生きるものへの「祝福」を─


涙のような形状のそれに、最初で最後の命令を、

願いを託す。


「このメッセージを…きっと、きっと次に届けてください。」




我々の最後の声を携え、“先駆け”は旅立っていった。

すぐ目の前に最期が迫っているのがわかる。もう、時間だろう。


我々はひとりではない。こうして、ここにいる。

きっと届くと信じて…私は、目を閉じた。



完全に趣味です。

今までも趣味でなかったわけではありませんが、今回はしこりを残すだとかなんだとか関係なく衝動的に書きました。

いつもニコニコな某動画ツールでSCP解説を漁っていたら、完全にハービンジャーにやられた形です。


私がもし死ぬとして、何より恐ろしいのは「存在を誰も知覚しなくなること」だと思っています。単に「死」自身も確かに恐ろしいですが、誰にも知られず、誰にも思い出されず消えること、それが何よりも恐ろしいように思います。

例え死んだとしても、友人が死を迎えるまで記憶していてくれて、時折思い出話に登場できたり、過去の言動でその人に何かいい影響を与えることができたら。

それは肉体の死であっても、存在の死ではないような気がして。


ハービンジャーを作った人の種はもうどこにも存在しないもので、思い出すものも記憶するものもなく消えるはずだった存在。しかし、ハービンジャーが財団にメッセージを届けたことで、種としての存在の死を免れたような、そんな気がします。

そんなSCPの説明には載っていない部分を深く読み取りたくて、思いを馳せたくて…その結果がこんな形で限界でしたが;

楽しんで読んでいただけたなら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ