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たいへんな おくりもの    作者: のはら ぎん
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~きじむなー~

きのう はじめて キジムナーを見た。というよりあそびました。

この話をいっぱつで信じたのは、親友のユウだけ。おとうさんも、おかあさんも、だれも信じてくれなかった。

でもきょうの朝。家ぞくぜんいんが信じた。


キジムナーの話をします。

ユウがカラテのきょうしつに行ったので、ぼくはひとりで、公民館のゆうぐで あそんでいた。

ぼくみたいな子は なん人もいた。すべり台をすべっていると、いきなり背なかにぶっつかってきたやつがいた。

ふりむくと、そいつのキモノよ!なんでキモノ?しかも、ヒモをぐるぐるまいているわけ。『ごめんなさい』も言わないわけ。

ぼくはそいつからはなれて、かいてんジャングルジムで遊んだ。するといきなり、ジャングルジムがグルグル。すごいスピードでまわりだした。ぼくは楽しくなってジャングルジムのてっぺんのぼうにつかまって笑った。だれがまわしているんだろう?って思って下をむいたら、あいつだった。

「おい、おれと かわれ」と声をかけると、あいつはぼくを見上げて立ちどまった。ぼくは飛びおりた。手とゆびで、こうたいのあいずをした。あいつはちょっとうれしそうな顔をして、ジャングルジムにするすると登った。

 ぼくはグルグルまわしながら、かいてんサイコーそくどで飛びのった。まだまわっているのに、あいつは飛びおりて、もう一度かいてんさせて飛びのった。ぼくたちはこうごにくりかえして遊んだ。

のどがかわいたので、公民館のクーラントのつめたい水を飲んだ。ぼくはついてきたあいつに、飲みかたを教えてあげた。

 「ちょっと まってて」身ぶりでつたえたつもりだったけど、あいつは近くのお店までついて来た。ぼくは ぼうつきチョコアイスを二本買った。一本は、あいつにあげたのだけど、食べ方がわからないみたいなので、ふくろをあけて教えてあげた。どうやらアイスを気にいったみたいだった。すごくおいしそうに食べていた。ぼくたち、いっしょに公民館にもどったつもりだったのに。いつのまにか あいつはいなくなっていた。

 「キジムナーだったのかなー」ぼくは公民館前のガジマルの木をみあげた。「またな」と手をふった。

 きょうの朝。おばあちゃんと、お母さんの声で目がさめた。

 たくさんのお魚が、台所でぴちぴちはねていた。ミーバイ、グルクン、タマン。いろいろだ。

 「リュウ。あんたは本当にキジムナーと遊んだんだねー。ほら、魚の目がぬかれているでしょう?これはキジムナーのとった魚のしるし。キジムナーからのおくりものだよ」おばあちゃんはそう言いながら、お母さんといっしょに シンクにお魚をほうりこんだ。つりきちのお父さんがせんめん所から出てきて、いそいで顔をふいてあと、ほくほく顔でお魚をさばきはじめた。ぼくはにいちゃんと、弟とで、ぞうきんがけを おおあわてでやった。

 お母さんと、おばあちゃんが、さばいたお魚をもってげんかんのドアをあけたときだった。ふたりの笑い声が聞こえてきた。

 「リュウ。来てごらん」げんかんから外に出ると、おばあちゃんの、じまんのガーデニングがきらきらしているんだ。よく見ると、葉っぱや、草が、くしゃくしゃして、きらきらでくっついている。これもキジムナーが通ったしるしだと知った。ぼくの家だけじゃない、くいき全体が朝日にきらきらかがやいている。あいつは、あっちこっち歩いて、ぼくの家をさがしたんだろうな。

 ありがとー!キジムナー!学校に来るときに、公民館前のガジマルにアイスをおいてきた。食べてくれるといいな。そして、おめでとうガジマルの木!公民館前のガジマルが、市の指定文化財になった。

 こんどの日曜日に、ぼくらは『ミルクムナリ(みろくぼさつの とうらい)』という音楽にあわせて、こどもエイサ―を ほうのうすることになった、と先生から聞いたばかりだ。ぼくはキジムナーへのかんしゃをこめて、かならず、かんぺきなエイサーをやります。

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