第三十六話:【終末の爆刻】蒸発する二つの霊峰――禁忌の『|金剛石の静牢弾《ダイヤモンド・プリズン・ボム》』と、暴走する白狼の意志
こんにちは、ムハンマド・ワカスです。
修行の最終局面、ついに「禁忌」が解禁されます。
タカシが自らの意志で封印していた、核兵器に匹敵する最悪の『律神』。
白狼に肉体を奪われた今、その破壊の化身が世界を恐怖に陥れます。
一行空きのモバイルスタイルで、その圧倒的なスケールをお楽しみください!
肉体が極限の衰弱に陥った、その刹那のことだった。
タカシの意識を押し退け、白狼がその肉体の主導権をほぼ完全に掌握した。
そして、その化身は「絶対的な禁じ手」を発動した。
タカシが師であるアラータにすら、意図的に隠し続けてきた恐るべき秘術。
魂律奥義――『金剛石の静牢弾』。
この極めて不安定で、かつ特殊な『律神』を、タカシは地獄の修行中にたった一人で編み出していた。
かつて一度だけ、彼は人里離れた場所で試験運用を行ったことがある。
その時は、わずか『特等以下』の力しか使用しなかった。
彼は凝縮されたエネルギーの球を生成し、それを限界まで圧縮し始めた。
一粒の小さな麦ほどの大きさにまで、その膨大なエネルギーを押し込めたのだ。
そして、それを立方体の『金剛石』の牢獄へと封印し、厳格な条件付き障壁で補強した。
その発動条件は、残酷なまでに単純。
「物理的な衝撃を受けた瞬間に砕け、内側に閉じ込めた地獄を解き放て」。
かつて森の奥深くで、彼はその立方体を全力で投げつけた。
ダイヤモンドの檻の中で、不気味に発光する紅き光が激しく脈打つ。
ギュゥゥゥゥンッ!!
箱は猛烈に回転しながら飛翔し、厚い巨木の幹をバターのように切り裂き、岩肌へと深く埋まった。
条件が発動する。障壁が霧散し、ダイヤモンドの封印が砕け散った。
『特等以下』のエネルギー球が、その真の姿を現した。
ドォォォォォォォンッ!!
その衝撃は、文字通り終末的であった。
半径一キロメートル以内のすべてが、瞬時にして灰へと化した。
いや、灰ですらない。完全に蒸発し、消滅したのだ。
それはまるで、核弾頭が現実そのものを消し去ったかのような光景だった。
後には、渦巻く分厚い塵の雲だけが残された。
タカシは、自らが生み出した「伝説を遥かに超えた」破壊の規模に、魂の底から恐怖した。
そして、二度とこれを使わないと、自分自身に固く誓ったのである。
だが。
今、肉体を操る『律神』の獣、白狼はその術の存在を正確に把握していた。
そして、獣に躊躇などという言葉はない。
かつての終末的なテスト――あれは、わずか『特等以下』の力で行われたものだ。
今、白狼の爪の中に、暴力的に渦巻く紅きエネルギー球が具現化した。
獣はそれを圧縮した。さらに、深く。
半径三十センチメートルほどの不安定なエネルギー球を、サディスティックなまでに握り潰し、手のひらサイズにまで凝縮していく。
それを条件付き障壁とともに、金剛石の檻へと固く閉じ込めた。
『金剛石の静牢弾』が、完成した。
アラータはクレーターの中から、必死の思いで立ち上がった。
もはや、反撃に転じるためのエネルギーは一滴も残っていない。
先ほどの肉を切り裂くような暴行を受け、彼の古びた肉体はもはや安定を保つことすら困難であった。
シュバッ!!
白狼は、伝説的な膂力をもって、発光する紅き立方体をアラータの顔面へと真っ向から投げつけた。
アラータの背後には、そびえ立つ巨大な山脈が控えていた。
彼は残された最後の力を振り絞り、身体を暴力的に横へと投げ出し、その致命的な投射物を紙一重で回避した。
キィィィィィンッ!!
回転する立方体が、空気を切り裂く咆哮を上げて飛翔する。
『金剛石の静牢』の中で超圧縮された紅きエネルギーは、見る者の網膜を物理的に焼き切るほどに輝いていた。
それは世界を終わらせるほどの壊滅的な力で投げ放たれ、数キロメートル先の山々に激突した。
否。それは激突したのではない。
山々の物理的な存在を、その一撃が貫通したのだ。
一本目の山の中心に、巨大で綺麗な穴を穿つ。
続けて二本目、三本目。
そして、四本目の山の核へと暴力的に突き刺さった。
条件が、発動した。
…………。
直後、四つの地すべての住人が、絶対的な沈黙の中でその光景を目撃することとなった。
それは、純粋で剥き出しの「消滅」が織りなす、静かなる恐怖の眺めであった。
二つの巨大な霊峰が、一瞬にして世界の表面から飲み込まれた。
周囲数百キロメートルにわたる領域が、完全に更地へと変貌したのだ。
木々、巨岩、土壌――そこに存在したすべてのものが物理的な実体を失った。
灰になったのではない。完全に「蒸気」へと変わり、分厚い煙となって空へと昇っていったのである。
この心臓を停止させるような、終末的な光景は、世界のあらゆる角から目撃された。
破壊の中心地へと向かって突き進んでいた者たちは、彫像のようにその場に凍りついた。
一人残らず、その魂は激しい恐怖に支配されていた。
これが一体何なのか、誰の思考も追いつかなかった。
死を恐れぬはずの狂気的な『新生』組織のメンバーでさえ、この世のものとは思えぬ光景に足を止めざるを得なかった。
もはや、誰一人として一歩も前へ進もうとはしなかった。
この先に何があるのか。
どのような死が待ち受けているのか。
そんなことを考えることさえ、思考から排除したかった。
自分たちの目で見たその破壊と惨状は、世界の終わりを告げる予兆に他ならなかったからだ。
もしあの無敵の力と対峙しなければならないのなら、生き残ることは絶対に不可能である。
生きて逃げ帰るなど、論外であった。
だが、背後に座す『最高指導者』たちからの命令は、極めて厳格かつ絶対的なものだった。
あの戦場から、窒息するような強烈なエネルギーが今もなお放射され続けている。
この底知れぬ力は、普通の人間や存在が持ち得るものでは断じてない。
しかも、そこには一つではなく、二つの極めて恐るべき破壊的な力が激突し合っているのだ。
一方、伝説の師のアラータの古き肉体は、絶対的な限界に達していた。
忍耐のあらゆる限界が、すでに踏み越えられていた。
アラータの内には、かつての輝きも、無敵の強さも残されていなかった。
『黄金の獅子形態』を維持できる時間は、もうほとんど残されていない。
だが、絶望している暇など、一秒たりともなかった。
この世界の完全な消滅を止めることができる存在は、今、ここに立つ彼一人しかいないのだ。
凄まじい衝撃の嵐が収まると同時に、彼は静かにその場に立ち、前方を見据えた。
目の前にはタカシが立っていたが、その肉体は今や『|伝説の神霊・白狼《レジェンダリー・ディバイン・ウルフ・スピリット・シンロ》』に完全に乗っ取られていた。
外見こそタカシであったが、瞳の中に宿る冷酷で血に飢えた獣の紋様が、誰がこの物理的な器を支配しているかを明確に示していた。
その最中、白狼は己の内側で、『封印の縛』が限界ゆえに自分を強制的に引き戻そうとしているのを強烈に感じていた。
だが、彼はそれほど簡単に、そして静かに去るような獣ではなかった。
戻る前に、彼はどうしてもこの世界に「ある印」を残しておきたかったのである。
――伝説の激突は、第三十七話へと続く。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
いかがでしたでしょうか?
ついにタカシの最強奥義、『金剛石の静牢弾』が解禁されました。
Dランクのエネルギーですら一キロを消し飛ばす爆弾を、白狼が本気で使ったらどうなるか……山が消えるという、まさに「終末」の光景です。
世界中の勢力が、この爆発を見て動き出します。そして、白狼が最後に残そうとしている「印」とは一体……。
私はパキスタンの大学生として、この物語をいつか日本の皆様に認められる作品にしたいと願っています。
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