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私、不倫を始めます。  作者: 月井
3/5

恋の始まりだと気づいていたんだと思う。

 私が入職してから1週間が経った。事務の仕事にも少し慣れ、入居さんの名前と顔も少しずつ覚えれるようになっていたので仕事が楽しい!と思えるようになっていた。

 何より、人間関係が最高だった・・・同じ事務員の谷さんとは気が合って仕事帰りのロッカーでは愚痴で盛り上がったり、共通の趣味で毎日会話が弾んですごく楽しい。仕事のことも色々と細かく教えてくれて、私がミスしてもフォローしてくれる。

 香川さんはやっぱりゲラでいつもニコニコしていて、仕事中でも冗談を言って1人でウケてゲラゲラ笑っていた。

 それを見て私と谷さんと事務長も笑いながら仕事をしていた。すごく仕事しやすい環境だった。


 無愛想の西山さんとは関わることがあまりなく、話す機会もないので距離感的には離れたままだった。

 西山さんがやってるケアマネジャーっていうのは入居している人たちへどんな介護サービスを使うか考えてプランを立てたりする、いわばその人に合った介護をまとめてくれる調整役だ。

 福祉関係には疎い私にはいまいち詳しいことはよくわからないけど、ケアマネジャーって介護の中でも偉い人?なのかなぁ??と考えながら仕事をしている。

 でも私も自分の仕事で精一杯だったので無愛想の西山さんへの関心も全くなかった。


 事務所で鳴る電話は最初取らなくていいよ。って事務長が言ってくれていた。けど一週間が過ぎたころに「そろそろ電話もとって覚えてみようか!」と言われた。

 前職では外からの電話とは無縁だったのでうまく電話を取れるか、とか、誰に繋げばいいのか。とかすごく不安だったけれど、やらなきゃ覚えないし、ビビってる場合ではない!!と思い、勇気を出して次になった電話をとってみた。


「富尾ハウス、事務の月井です。」緊張していたので自分でも声が震えていたのがわかった。


「あっ、福祉用具のものです。ケアマネジャーの西山さんお手すきでしたらお願いします。」


 げぇぇええぇぇ。まさかの初電話一本目が西山さんへの電話かよ・・・無愛想な人に話しかけるのって本当に嫌なんだよな。無愛想な返事されただけで傷つくんだよな。とか思いながら


「あ、はい、少々お待ちください。」と言い保留を押して、事務所の奥に座っている西山さんに

「西山さん、すみません、福祉用具からお電話です・・・」とオドオドなりながら伝えると、


「あっ、ありがとう!」と私に向かって優しい声で返事をした。

 てっきり、また無愛想な返事か、シカト状態で電話とるのかなとか思ってたから意外過ぎてびっくりした。

 それと同時になんだか胸がドキッとした・・・。

 この気持ちが恋に近づいてるなんて多分その時には気づいてたんじゃないかなと思う。


 その電話依頼、西山さんとは関わることなく一日が終わった。

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