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魔族がもう一人……。

5話目でございます。

私は”イザリア・キャンベラ”27歳女性、独身……ダメか?そんな事はないって?ありがとう。


 私は一応は人間の治癒師をしていた……だが力が発揮されず、徐々に周りから疎まれ構われなくなり、価値も居場所も無くなり、追い出されるかのように身一つで飛び出していた。

 ……希望なんてものはなく…絶望で生きる気力も皆無で、いく宛の無いままに森を彷徨っていた……そのまま私は魔獣にでも喰われて消えてしまった方が良いのでは……と自暴自棄になりながら……。


 だが、実際に森の中で私には奇跡なるものが起こった……私の治癒の力は使えなかった訳じゃなくて……人にではなくて魔獣や魔族を治す事が出来る治癒の力……これが分かったのと同時に、私と一緒に旅をしてくれる事になった3匹の魔獣とダークエルフ。

 食料と水の確保が出来て、悠々とシザーズスコーピオンのドルクの背に乗って移動中なのだ。ジュエラの作ってくれた敷物が滑るのと、お尻の痛みを軽減してくれるので乗り心地は良い方だ。


 道を……いや、ドルクが通って来た所を戻ってるだけなのだが。そこを通ってアルミラ達と出会った広いスペースに戻って来た。そこからどう進むか……。

 ……ん!?なんだあれ?北東の方角になるかな、煙が上がった。う~ん、ここから1km位かな……。


「煙……だな、どうする?イザリア。」


 さすがにアルミラも気付いた様だ。メリルとジュエラも匂いを嗅いで、察知した様だ。さて、どうしたものか……。


「あっ、彼奴ら……。」


「ん?見えるの?」


 この距離で見えるなんてスゴいね!でも彼奴らって事は……。


「アルミラ、知り合いが襲われてるの?」


「あ、いや……その……。」


 珍しく口を濁している、察するにあまり口にしたくない知り合い……。


「ダークエルフが居るんだね?」


 私がそう聞くと黙って頷いた。やはりとも思ったが、しかしピンチなら行かない訳にはいかない性分の私……。


「状況を教えてくれる?それによって突入方法を考えなきゃ。」


 私は申し訳なかったがアルミラに頼るしかなかった。アルミラも渋々ではあったが話してくれた。

 それによると、檻の付いた大きな荷車とそれを引く馬2頭。3人のロープを持った人間と、少し派手目の格好をした小柄な男が1人、更には戦士、魔法使い、弓使いの冒険者らしき者も居ると言う。


 相対してるのは、1頭?1人?2足歩行だが、頭と両足が牛のそれで、腕と胴体は素晴らしい筋肉……お腹も割れ目があって、ガチマッチョ!両刃の斧を振り回しているらしい。ミノタウロスと呼ばれる魔族だ。


 その後ろに固まってしゃがみ込んでいるのは女性のダークエルフの3人。

 恐がってしまって、戦う事すらしないらしい。

 ま、私も戦わないから人の事は言えた義理じゃないが……。

 ああ、それでミノタウロスに護衛させてたのか……ってか丸投げ!?いくらなんでも多勢に無勢でしょ!確かに強いんだろうけど……可哀想だよねぇ、無いわぁ。


「分かった、アルミラ?嫌だろうけど手伝ってくれる?今晩のお肉多めにあげるから。」


「えええ……いやぁ、お肉多めは捨てがたいけど……なあ、アタシが嫌だと言っても行くんだろう?」


 私は微笑み返していた、私の顔を見て片手で顔を覆って大きくため息をついた。


「分かったよ、あんたに付いて行くって誓った身だ、イザリアに従うよ。」


「それでこそ、アルミラ!可愛い……ww」


「なっ!ななな何をっ!」


 可愛いと言われて、顔を紅くして俯いちゃった……エヘッ!


「じゃ、じゃあ、作戦は?どう動く?」


 はぐらかし半分で、話を変えてくるアルミラ。まあのんびりもしてられないから、話を進めようかな。


「じゃあ、突入したらジュエラはまず魔法使いを拘束して。口も塞いで、詠唱出来ないようにするの。続けて弓使いもお願い!」


「キュルッ!」


 触手を器用に敬礼するとは……それ、慣れたな。


「そしてアルミラには戦士を頼むわ。ドルクに遅れを取らない位だから、勝てるでしょ。期待してるからね。」


「任せな、晩飯の件忘れるなよ。」


「勿論!、それでメリルにはロープを持った奴をお願い!先に捕縛されたら敵わないからね。」


「ガルッ!」


「そしてドルクは檻の荷車を破壊して!2度とそんな事が出来ないように。」


「ドルッ!」


「私はミノタウロスの後ろに回り込んで、ヒールを掛ける!少しでも役に立てれば……ね。」


 あれ……この作戦って……ああ!ジュエラを助けた時に似てる!でもあの時はメリルと2人で、突入したんだっけ……かなり無謀に近いよね。でも今は……仲間が居て、負ける気がしないんだよね。

 絶対助ける!


「よし、それでいこう。ドルク、前進だ!」


「ドルッ!」


 ドルクは勢いよく、木々を次々と薙ぎ倒しながら前進していく。さっきの移動スピードとは違い、気合い全開で突入モードだ!その地響きと咆哮に、戦っていた人と魔族は横方向から向かってくる何かを凝視していた。


「ドルルルルルゥッ!」


 目の前の木々をへし折り、薙ぎ倒して咆哮を上げたドルクに全員の血の気が引いて固まっている!


「今っ!!」


 私のかけ声と共に、一斉に散らばる!作戦の通りにジュエラが魔法使いを拘束する!アルミラは戦士と剣で打ち合いを、怯んでいるロープ持ちをメリルが押し倒していく!ドルクが、その隙に檻の荷車を破壊していく。片手で挟んで固定し、もう片方の鋏で切り刻んでいく……ちょっと……何なのその切れ味……鉄格子だよねぇ、ドルクの鋏って材質何!?

 そのお陰で、捕まってた魔獣達も散々に逃げ出した。良かったと言うべきだろう、そのまま高く売られるか、素材にされて売られるか……どっちにしろいい気はしない。

 私は走り込んでミノタウロスの後ろに回り込んだ。


「ウモォォッ!」


 矢が刺さり、身体中傷だらけになりながらダークエルフの盾になって抵抗している。私が後ろに回り込んだので、驚いて振り向こうとした。


「そのまま前を見てっ!」


 その言葉にミノタウロスが固まった、今しかない!

 が、その瞬間を狙って矢を射ろうとする者が!


「イザリア!避けろっ!」


 アルミラが叫んでくれたが、間に合わない!


「キュラァァァッ!」


 弓使いの横から太い糸の粘着網を投げつけられ、矢を放つ前に取り押さえに成功!ジュエラもグッドポーズ!偉いっ!


「ヒールッ!」


 私は手を翳して集中し叫ぶ!眩い光と共にミノタウロスの全身の傷が癒えていく……無事に傷は回復した。


「な、な、な、何をしているっ!さっさと止めを刺さんかっ!役立たず共が!」


 ああ、さっきのアルミラが言ってた小柄の贅沢な服を着ている頭目らしき男……いや、間違いないか。前に逃げて行った男と同じ奴だ……ちょっとムカついた!

 周りの状況も把握出来ずに、戦えだって?自分さえ良ければ……って考え方だから駄目なんだよ……。


「元凶……。」


 私の中で何かが外れた。

 私はミノタウロスの前に出て、片手を翳して私は意識を手放し勝手に繰り返し呟いていた……。


「元凶……元凶……元凶……。」


 すると、手のひらから真っ黒な闇の靄が現れ手の形を成して伸びて行き、その頭目に襲いかかっていた……。


「な、何だこれは!ええぃっ!その術者を殺せっ!」


 頭目は怒鳴り散らすが、その黒き靄の手が恐ろしい異形に見えて、誰も動けない。まして、側で戦っていた戦士とアルミラもドン引きする程だ。


「や……やめろ……やめないか!……だ、誰か助けろ!……や、やめろ……やめてくれぇっ!」


「元凶……。」


 その黒き靄の手は頭目を掴み込む様に吸い込んでから全ての靄が消え失せた。

 それと同時に、私は意識を失いその場に崩れ落ちた……。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

「………リア……。」


「……イザリア!……。」


 ん!?青い綺麗な晴れ渡る空が……あれ?ここどこ?


「あ、まだ寝てろ!無理に起きなくて良いから。」


 傍にはアルミラとメリルとジュエラも居て、気が付いたと甘えて来た。どうやらドルクの背に寝かされていたらしい。どの位眠っていたのか……話を聞くと、私が気を失ってから、残っていたもの達は慌てふためいて散々に逃げ出したのだそうだ。ダークエルフの3人もアルミラと言い合いながらも、とっとと帰れと送り返したそうな……。

 回復したミノタウロスはと言うと、ドルクの足元で背を向けて胡座をかいて座っていた。


「良かった、大丈夫そうだね。」


 私は起き上がって、ミノタウロスを見ながら話し掛けた。


「おうっ、お陰で助かった。」


「それなら良……!?」


 あれ?返事が返って来た?え、ミノタウロスって叫び声位しか話せなかったはず……何その流暢な言語は?


「あ、あなた、会話が出来るの?」


 思わず聞いてしまった、だって貴重だもの聞かずにはいられない!


「ああ、何時からかは分からんがこの通りだ。」


 今度は振り向いて私の方を向いてきた。


「アタシも驚いたよ、ミノタウロスが知能が高いなんて初めてだったしな。」


「いや、彼だけかも知れないよ。」


「え?マジ?」


 ダークエルフがマジって言葉を知ってるのも驚きだけどね。


「ねぇ、貴方の他に喋れる一族は居た?」


「いや、居なかったな。俺が他の言語を話せるから周りから嫌われていたしな。」


 う~ん、同じ様な境遇……。


「今日は助かった。」


 へ!?片膝を着いて頭を垂れている?やはりただ者じゃない!


「い、いや、お礼なんていいよ。」


「じゃ、じゃあ、あんたのお供がしたい!雇ってくれないか?報酬は毎日の飯が食えればそれで良い!駄目か?」


 ふ~む……どうしたものか……とアルミラの方を見るとウィンクしてきた。


(ほら、前衛に戦士系が居ると安心しないか?アタシ1人だと心もとないしさ……。)


 耳元で、そう言って来たので私も決心がついた。


「分かったわ!貴方を雇うわ。名前を決めないとね、困ったな……え~と……アルバス?……アルバスでどうかな?」


「良いんじゃない、あんたアルバスだってさ!」


 アルミラが改めて彼の名前を呼んでいた。彼もまんざらでもなさそうだ。


「……アルバスか……よろしくなお嬢!」


「え?私はイザリアだけど……。」


「わっはっは!名前よりもこの方が呼びやすいし話しやすい。」


「いや、それ…逆に照れる……。」


 お嬢なんて……初めて呼ばれたな。でも何故か悪い気はしない。何だろう裏表が無いというか……。


「よろしく!アルバス!」


 一体どこまで珍しい仲間が出来るのか……でも、力強い味方が出来たのは間違いないし……今更失いたくない。

 私はやれることをやるだけ……そのためにはスローライフ出来る場所を見つけるんだ!

 争いの無いのんびりした場所をね……………………。


≪魔族従属レベル5を獲得しました。魔族治癒レベル3を獲得しました。ミノタウロスがレベル5を獲得しました。収納レベル5を獲得しました。闇支配レベル2を獲得しました。≫

読んで頂けるなら次話へとお進みください。ありがとうございます。

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