人型種族に出会う……。
3話目でございます。
私は”イザリア・キャンベラ”27歳女性、独身……もう少しでアラサー世代だが何か?まあ、まだ3年もあるがな。
私は人間の治癒師だった……しかし力が発揮出来ず散々な言われようで、居場所も失くなり終にはラドル国を身一つで飛び出していた……絶望で生きる気力も皆無で、いく宛の無いまま森にさ迷い込んだ……そのまま私は消えてしまった方が良いとも思いながら……。
だが、その絶望から救ってくれたのは魔獣のメリル
だった……。
“トライデントパンサー”と言う種族で大きな2本の牙と三矛の尻尾を持つ黒豹といった体躯だ。怪我を治癒したことで、絆が出来た。更には密猟者達から“フレイムスパイダー”白い体躯に焔の紋様があり焔まで吐く事が出来るジュエラも助けて絆を結んだ。
2匹共、私に非常に懐いている、滅茶苦茶可愛い……。
あとは、何故かスキルなるものが突然発動して、レベルも上がっていく。これに関してはかなりチート感が否めない。だが、私には使えるスキルばかりだから、勿論手放すつもりはない。
ん……眩しいな、朝か……良かった生きてる、だけどこんな所で寝心地が良いなんて……。
と言うのも、実はジュエラが糸で敷物を編んでくれてそれが普通のベッドとは比べ物にならないくらい弾力があって柔らかくて……って私の水準でだが……。
まあ、ぐっすり眠れたと言う事だ。
「おはよ~。2人とも朝早いねぇ。」
…って魔獣だった、失敬。そうだ、この敷物も貴重だから持っていこう。
「収納……。」
早速、その敷物も勿体ないので収納する。
《収納レベル3を獲得しました。収納範囲が3倍になりました。》
は~い、レベルが上がってスキルが強くなっていくのは大いに結構。
……って3倍!?今3倍って言った?うわぁ、それじゃまたあの湧水貰いに行けないかな?食料も大事だけど、水も生命線だからな~……後で2人に相談してみよ。魔獣だけどね。
う~ん、もう少し先に進んで場所を確認してからの方がいいか……そうすればあまり迷わなくて済むしな。
「よし、出発しようか。」
ある程度身の回りを収納して2匹に声を掛けた。先導は相変わらずメリルだ。私が後を続き、ジュエラが後方を引き受けてくれた。ジュエラを先に……と促したのだが、後方で警戒をしてくれると動作で表現してくれた。2人…いや、2匹共、なんて気の利く……可愛すぎるだろうに……うおっほん!
とまあ、そんなこんなで珍道中になっている。
2匹には感謝しかない……私の死亡フラグしかなかった心を救ってくれた恩人なのだから……。
まずは地形の把握する範囲を広げたいと思って先に進む事にした。ここで水を確保しに行くよりも、先の状況が分かっている方が動きやすい。敵に遭遇したとしても、地形を利用しやすくなる。戦う幅が広がるしね。
とは言うものの、相変わらず“道”と言う物はない。
メリルが先導してくれるお陰で、進みやすいだけなのだ。なので、突発的にエンカウントする可能性も高い。どんな強力な大型魔獣が居るかもしれないから、油断は出来ない。
でも、ザクッとしか把握出来ないんだよねぇ、それでも全く分からないよりはましなんだけど。
と、メリルの動きが止まった?警戒しだしたよね?ジュエラを見ると、気付いた様で頷いてくれた。毎回エンカウントする時って似てるんだけどね。
メリルが姿勢を屈めて、足音を立てないように進んでいく。私もしゃがんで慎重に後を付いていく、ジュエラも続いて来た。
すると姿はまだ見えないが怒鳴り声と奇声が飛び交い、金属がぶつかり合う音も聞こえた。何かが戦っている事は分かった、覗ける位置まで近付いて行く。
一対一……所謂タイマンと言うものだ。方や……デカッ!体長10m以上はある巨大な蠍?待って、左前足は挟み込むためのハサミになってるけど、右前足は完全に斬るための巨大な鋏?になってる!あれじゃ紙のようにザクザクに切り刻まれても不思議じゃないでしょ!何あれ……あ、魔獣か……あり得ないんだけど……しかも毒針の付いた尻尾が上から見下ろしてるし……。
まあ、でも右の真ん中の足が2本切り落とされてるね。あちこちに切り傷もある様だし。
さて、相手の方はと……人型ではあるけど……褐色肌に紅いウェーブのかかったロングヘアで女性なのは分かったけど……耳が尖ってる……まさかダークエルフとかって言う?
はあぁ……よく見ると美形……良いなぁ、美人は得するよねぇ。でも、手足脇腹も傷を追って剣を構えてはいるけど、息切れしてやっとの感じだね。あの状態で勝てると思えないけど……。
「ギギィッ!」
「はああああぁっ!」
あ、お互いに動いた!ダークエルフが地面に掌を付けて念じる!すると蠍の下に魔法陣が現れて地面が崩れた!?蠍も堪らず体勢を崩した!
「もらったぁっ!」
そのチャンスを逃さず、跳躍して両手で剣を振り下ろそうと飛び掛かっていた!しかし……。
「なっ!?しまっ……ぐあぁっ!」
蠍も意地を見せて左前足でダークエルフの胴体を掴み、毒針を左腕に突き刺した!激痛に叫ぶダークエルフだが、しかし歯を食い縛って蠍の尻尾を叩き斬る!
「ギギャァッ!」
今度は蠍の方が悲鳴を上げて、ダークエルフを放り投げていた!地面に叩き付けられた勢いで毒針は抜け落ちたが、苦しそうに動く事すら出来ないようだ。
ちなみに蠍も体勢を崩した加減で動く事が出来ない。どちらも満身創痍……。
(勝負は引き分けかな?でも、ダークエルフの方が部が悪いか……。)
毒針の致死毒によって死が迫っているダークエルフの方が負けに近いだろうか。
だからと言って放っては置けない私………。
「ジュエラ、あなたは蠍を拘束して。私とメリルはあのダークエルフを治癒する!暴れられると困るからメリルに押さえてて欲しいの?ジュエラも蠍を拘束出来たらこっちを手伝って!」
2匹は理解して頷いてくれた、双方の動きが止まった今しかない!
「いくよっ!」
同時に1度に飛び出す!
ジュエラは蠍を、私とメリルはダークエルフをそれぞれの方向へ走りよった!
「な……なんだ……お前…達は……ぐっ!」
ダークエルフもまた別の敵が現れたと思った様だ。しかし、疲労と激痛とで動く事が出来ないでいる。
「グルルル……。」
メリルが片前足でダークエルフの胴体を押さえた。
「ガハッ!何をっ!」
メリルは威嚇の顔でダークエルフを睨んでいる。ダークエルフも観念した。毒もかなり浸透して来ていたからだ。死を覚悟している……。
急がなくては……でも、本当に治癒出来るのか……魔獣には効いたが、人型にはどうなんだろうか?……いや、やるだけやってやる!むざむざ目の前で死なせるものか!
「ヒールッ!」
私は手をかざして叫んでいた!意識を掌に集中する!
すると、全身を侵食だしていた、褐色肌をどす黒い色に変色させていた毒が引いていき、切り傷等も回復していく!
《魔族治癒レベル2を獲得しました。》
「良かった、これで大丈夫。」
息も落ち着いてきて痛みも収まって来たようだ。
「キュル!」
「あ、ジュエラありがとう。こっちも拘束出来るかな?」
「キュル!」
返事をすると速攻糸で拘束していた。暴れられないためにだけど……メリルとお互いに頷いている……何なのそのどや顔は……。
「な、は、放せ!ここから出せ!」
何かもがいているようだがジュエラの粘着糸を舐めてもらっては困る。希少種の作り出す糸だよ、そう易々と裂けはしない。
それからあっちの蠍だね、まずは足を治さなきゃ……うまくいくかな?ジュエラの大きさなら何とか出来たけど今度は大きいからなぁ、まあやるだけやってみるさ。
「おい!何をするつもりだ!」
拘束されているダークエルフが、向こうで騒いでる……。確かにダメージを回復させたら怒るだろうな、でも私は放っておかない……。
2本の切れた足の付け根に手をかざす……。
「ヒール………。」
拘束されて動けずにいた蠍が身体をガタガタ震わせていたが、想定外の行動に固まっている。
まあ、その方が治癒に専念しやすいが……。
やはりと言うべきだろうか……大きさは違えど再生している………もはやチートだとはっきりした。
≪魔獣治癒レベル5を獲得しました。毒耐性・麻痺耐性・睡眠耐性レベル2を獲得しました。≫
もう何来ても驚かないよ~~お得感満載って感じだね。良いわぁ、私一体何になるんだろ?
蠍もゆっくりと立ち上がった。鋏で拘束していた糸を切り裂く。
「おい!何のつもりだ?魔獣を治癒するなんて…また暴れ出すぞ……回復してもらって言うのも何だが、アタシは知らないからな。」
あ~……確かにね……また暴れると厄介で危険だし、速攻で離脱しようか……ん!?ナニこの反応……ええ……ま・さ・か………?
蠍は地面に鋏とハサミを突き立て、尻尾を真っ直ぐに伸ばし腹と尻尾を地面に付けて私の前に?
「なっ………信じられない……あの獰猛な魔獣と恐れられ、魔族ですら従えた事がないと言われているのに………それが服従の姿勢を見せるなんて……。」
あ、あははは……ダークエルフですら信じられないなんて……どうなって……いや、この際いいや。
私に服従をしてくるなんてね……。
「ね、あなた私と一緒に来てくれるの?でも、私は何も出来ないただの弱い人間だよ。私と居ても良いことなんて無いと思うよ、それでもいいの?」
「ドルッ!」
そう言えば人間の言葉が分かるの?メリルやジュエラもだけど……あ、魔獣使役の効果かな?
「分かったわ、あなたにも名前を付けないとね……。う~ん………そうだ、ドルク!ドルクはどう?」
「ドルッ!」
両方のハサミを上に上げて喜んでいた、なんとまた仲間が出来たのだ。どうして……?国に居たときには誰も?……。
《魔獣使役レベル5になりました。制限が有りますが中型・大型魔獣の使役が可能になりました。魔獣治癒レベル6になりました。範囲治癒が可能となりました。トライデントパンサーがレベル3になりました。フレイムスパイダーがレベル3になりました。シザーズスコーピオンがレベル2になりました。》
わっ!スゴい事になってる……たとえ人間が味方じゃなくても……私には十分過ぎる……。
「なあ……あんた一体何者だ?アタシや蠍の傷を完全回復したり、希少種の魔獣を2匹も従えて……しかも、そのシザーズスコーピオンまでも従えてしまった……お前…一体…何者だ?」
ジュエラの糸で拘束されながらも冷静に判断してくるのは流石だね。状況が飲み込めない様じゃ、自分の命に関わるしね。
「私はイザリア。治癒師だったけど、国じゃ全くの無能で役立たずだった……居られなくなって国を飛び出した情けない人間……死ぬ気で森に入ってきたけど、この子達を治癒する事が出来る事が分かってもう一度生きてみようと思った。国に戻るつもりは無いけど、どこか静かに暮らせたらなぁと思って……。」
「ふ~ん…なあ、アタシも一緒に付いていって良いか?」
「ええ!?ど、どうして……?」
今の話からすれば、一緒になんて思わないと思うけど、どうしてまた……?
「アタシはアルミラ。アタシも部族からは好く思われてない身だ、仲間に認められたくて蠍の奴に喧嘩を売った。だが、あんたが助けてくれなかったら仲間に認めてもらう処かこの場で即死だった……1度死んだも同然だ。だからあんたに付いていく事にした。ダメでも付いていく!」
「……アルミラはそれで良いの?」
「構わない、別に部族に認められなくてもあんたが居る……アタシはあんたを気に入った、それで十分だ。」
《魔族従属レベル2を獲得しました。それにより魔法レベル1を獲得しました。》
…魔法?た、確かに魔法師団があったのは聞いた事があるけど……魔法が使える様になったって事?嘘でしょ、魔力は皆無だって言われてたんだよ、それが魔法って言われても……ねぇ。
いや、でもこの際だから良しとしよう。スキルが付くのは良いことだ!
「じゃあ、ドルク。アルミラの糸を切ってあげて。」
「なっ!ちょ、ちょ、ちょっと待て!アタシごと切られたらどうすんだ!」
「あら、失礼な。ドルクがそんな失敗する訳無いじゃない、でも何かあったら私が治癒するから大丈夫……ww」
「そう言う問題じゃない!勘弁してくれ!頼む!」
ゴメン、ゴメン、泣きそうに成る程イジルつもりはなかったんだけど、やり過ぎたみたいだね。
私はドルクに鋏の入れる所を指示し、ゆっくり少しずつ鋏を入れてもらった。アルミラも怖がりながらも動かずにじっと堪えていたので、無事に糸を切る事が出来た。
「た、助かった……。」
「それじゃ、これから宜しくアルミラ。」
私は手を差しのべる。
「宜しく!」
アルミラも私の手を取り起き上がった。魔族まで仲間になってしまうとは……これからの人生ってチートだらけ?良いわぁ………ww
読んで頂けるなら次話へとお進みください。ありがとうございます。




