粋な旅立ち……
「お父さんは…歩いたの!死ぬまで歩き続けたの」
「………? どういう意味?」
「死のう!と決意して、力尽きるまで…ウォーキングをやり続けたの!」 「!」
「そう!イカれてる……うちの住まいだった所は…冬になれば大雪になる田舎…父は、雪降る夜にウォーキングに出かけて、数日後に家のすぐに近所で発見された。」 「狂ったうえ、妙な話ですね!」
「うん!かなり…妙だ、でも…まぁ、ウォーキング中の事故という事に…」 「…自殺なんですか?」
「家に遺書があった、事故という事になっているみたいだし…事故だと、得るモノも有るし、事故!とという事で収めてもらったわけ!」
「…………中々!面白い話、だったケド!刑事ちゃん、あなたもボクには及ばないながらも中々のひょうきん者だという事も認めますよ…だけど!話、戻しましょう!」 「……」刑事ちゃんはふくれっ面になった。
「ボクは…心の爆発を決心した人の話を聞くと!コレがまた、面白くて!刑事ちゃんの話もコレくらいは面白いよ!と」 「………」
「いつも、見た目で損をしていた…イノ吉くんという人がいました。」 「……うん」
「いつもの…日常!なんでもない瞬間に…イノ吉くんは…仕事に行く途中に全部がイヤになって……逃げ出したんだ……うん、走った!ずっと走った…なにの、誰も追いかけて来ない!職務質問はされた!意外は、誰も自分に連絡を、してこない……!虚しくて、悲しくて!イノ吉くん…大泣きしたんだって…!」「………」
「……そんな、話をイノくんは、泣きながら話てくれた!ボクは、見た目がカワイイから!何でも話してくれました!」 「……うん」
「……イノくんは!辛さも限界…だからね!旅立つ事にしたの…ボクは、いいクスリを沢山持っているから…」
「それで…?」 「それで…イノくんは、毎日のように職務質問を受ける!し…それを利用して、職務質問中にボクのクスリを飲めば…自分の事イが!イノくんの事が大好きなお巡りの腕の中で旅立てる……と考えて!」
「…………」 「旅立ちました!」とペケポンは取調室の天井を見てニッコリ…小声で「イノくん…」とささやいた。
「ペケポンは…その、…イノ吉さん!も殺した事になる!」 「そうだね!」 「!」
「いい!、刑事ちゃん……みんな、おかしく…なっちゃたんだよ…苦しいのは、理不尽だろうと自業自得だろうと同じ、誰も助けてくれない…!」
「……助けとは?」 「心の底からの優しい労り」
「……!?」 「……税金を多く納めている輩は、明日をも生きるのに苦しんでいる人たちに対して、助けてやっていると思っているようで……見下してますよね!」 「国から強制されてする助けよりも、心ですよ…」 「誰も!じゃ、ないでしょ!」
「………あぁ、もういい、要するに!ムカつくに足る世の中ですよ!誰も…心を助けてくれない!みじめな思いからはすくってくれない…」




