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意外とモンスターって話通じるんですね  作者: 豚煮豚
本編

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3

 

 よし!ここまでよく読んでくれた!


 じゃあ、これまでの俺がどんな風に生きてきたのかを回想で――

 ってさすがにもう回想は要らないか。

 ということで、今はこれからの話をしようではないか。


「おい!ユージ~!なにしてんだよ!」


 めちゃくちゃ聞き取りやすい高音が鉱山に響いた。


 それを聞いた俺はその声の主に向かって大声を張り上げた。


 石油なのか、石炭なのか知らないが、鼻が曲がってしまうような臭いがするこの場所。なにもナシで作業をすると危ないということで、ゴブリン印の防塵マスクを装着していたが、それでも臭かった。

 ちなみにヘルメットもしていたし、つなぎのような作業着も着ていた。



 薄暗いこの場所ではランタンの灯りだけが頼りになる。


 なんか幽霊とか出そうで怖い雰囲気もあった。


「あぁ!ごめんごめん!アル、今すぐそっちに行くよ!」


「ちゃんとしてくれよ~!お前が頼りなんだからさ!」


 頼りにされるのは嬉しい。


 正直、肉体労働は大変であんまりしたくないんだけど、みんなのためを思ったならば頑張れる。


 例え、それがゴブリンのためだったとしても。

 ――ゴブリンのために仕事してます!


「おぉ!来たなぁ!」


「おつかれさま!そっちの様子はどう!」


「中々大量だよ!ほら!」


 おそらく百センチくらいしか身長がないゴブリンのアル。その肌はクリスマスとかでよくみる固そうなヒイラギの葉っぱみたいな緑色をしていて、爪や耳なども“ツンツン”と尖っている。

 これぞゴブリン!みたいな見た目のアルもヘルメットを被っていた。とても嬉しそうなその表情はなんか、和む。いい奴そう。


 そんなアルが俺に見せるために手押しのトロッコを傾けてくれた。


 するとそのとき!“ガシャガシャガシャーー!”と雪崩のように床へ落ちていく石炭たち。それを「あぁー!」と言いながら見守ることしかできない無力な俺たち。


「やっちまったー!!どうしよっか!ユージ!!」


「拾うしかないねー。まぁ、俺も手伝うからさ」


「すまんなぁ!いやぁ、しまったしまった」


「俺が持ち場から離れてたのも悪いんだしさ。あんまり気にしないでよ」


 落ちてしまった石炭を必死に拾う俺たち。


 もはや馴染んでしまっていた俺はこの生活にそれなりに満足していた。


 しかし、やっぱり大変は大変だ。


 だからといって違う生活を模索することもできないはできない。やっぱり回想した方がいいかな?なんで人間だったはずの俺がこんなことになってるのか回想しようかな?

 まぁ、それは次回でいいか。詳しい事情は次回説明することとしよう。とりあえず今は今の生活の話でもしてみようか。


「ホントによかったよー!こんな地下労働に来るってなって不安だったんだ!」


「それは俺もそうだよ。こんなことになるだなんてなぁ」


「ユージは異常種なんだよな!だから魔法が上手く使えなくてここに居るんだったか!」


 異常種っていうのは突然変異的に生まれてきた魔族のことらしい。


 普通の魔族にはない特徴を持った、異形的な魔族の種類を総称してそう言うんだってさ。


 ライオットさんがどう見ても人間でしかない俺のことを受け入れてくれたのも、異常種っていう突然変異の魔族が時々発生するからだそうだ。で、自分のことを魔族って嘘をつき続けている俺はその異常種に分類された。


 もう戻れないくらいに魔族になっちゃってる。まぁ、それでいいんだけどさ。


「そうなんだよ。魔法の使い方がわからなくてさ」


「困ったことがあったらすぐに言ってくれよ!な!」


「ありがとうね。アル」


「それにしても向こうでなにしてたんだ?ここで待ってたらよかったはずだろ?」


 石炭を拾いながら普通の世間話。


 本当にちゃんと話が通じる。


 ビックリするぐらいに人間とおんなじように会話ができるのだ。


「それはさ。なんか、鉱石とか落ちてないかなぁってさ」


「ダメだぜ!?拾ったとしても報告しないと怒られちまうぞ?」


 ちなみに俺たちは普通にいわゆる底辺労働者をやっていた。


 魔法が使えない俺も、体格的に恵まれてないゴブリンもここで働いている。


 だからまぁ、金目の物を探していた。生活の足しにでもしようとしてた。


 労働環境はあんまりよくないけど、私は元気です。


「まぁ、そうなんだけどさ。ホントに欠片でもいいからないかなぁって」


「気持ちはわかるけどさ!俺、お前と一緒に仕事できなくなったら嫌だぜ?」


「アル……そうだなぁ。そうだよなぁ」


 こんな場所でと健気だぜ、アル。


 他にもいろんな魔族とはなしたりすることがあるけど、みんな結構いい人たちばっかりだ。オークも、スライムも、ゴーレムもみんないい奴。


 いい奴なんだけど、人間とは敵なんだよなぁ。


 こればっかりはもう仕方がないというか、なんというか。



 それから、アルと一緒にピッケルで壁を掘ったりして石炭をひたすらに集め続けていた。魔族には魔族の街がある。そこでは石炭を使って蒸気と魔法で生活を送っているらしい。

 かなりの人口がいるらしく、石炭はあればあるだけ嬉しいらしい。

 らしいばっかりだ。なぜなら、街には行ったことがない。


 ちょっと行ってみたい気持ちもあったが、よくよく考えるとめちゃくちゃアウェーなので俺的にはここでもよかった。まぁ、仕事は大変だけどさ。




他にもたくさん同時連載してます!

もしよかったらみてみてね?

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