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意外とモンスターって話通じるんですね  作者: 豚煮豚
本編

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10/11

9

 

 二人で仲良く会話をしながら道なりに歩いていた。


 すると、その先にちょっとした村があった。


 少し歩き疲れていた俺たちはそこに立ち寄ることに。

 あと普通に地図とかあったら見せてほしかった。


「うわぁ、外だぁ……村だぁ……人だぁ……」


「なんかその反応おかしくねぇか!?まぁ、あんだけ地下に居たんだからそうなる気持ちはわかるけどな!」


「そ、そうかも。あはは……」


 村では魔物のみんなが共同生活を送っていた。


 その様子はあまりにも人間的すぎて、中身は人間なんじゃないかって思った。


 ていうか、ホントに中身は人間なんだよな。

 話してると人間と話してる感覚しかない。


「あのー!すみません!ちょっといいですか?」


 アルが話しかけたのは女性的な雰囲気がある牛の魔物だ。


 頭に水色の頭巾を巻いていてなんか可愛らしい気がする。


 あと、当たり前のように服は着ていた。


「あら?なにかしら?って、人間……?」


「いや!違うんです!俺は異常種で突然変異なんですよ……」


「ホントね。言葉が喋れてるってことはそういうことだものね?」


 俺これから毎回このやり取りすんのかなぁ。


 地味に面倒だからなんとかしたい。


 もう名札でも着けようかな?

 《魔族です!》って書かれた旗でも背負おうかな?


「それで?どうしたのかしら?」


「実は、ギアダに行きたいんだ!それで、地図とかなんか見せてもらいたいと思って!」


「そうなの?それなら宿屋さんに行くといいわ。そこなら道案内もしてくれるはずよ」


 みんな優しいなぁ。


 ホントに怖い人なんて居ないみたいだ。


 まぁ、そんなことはないんだろうけども。


「ありがとう!よし!行くぞユージ!」


「本当にありがとうございました!助かりました!」


「いろいろと不便だろうけど頑張ってね?また会えると嬉しいわ?」


 そんな感じで俺たちは宿へ向かうことに。


 また会いたいって言ってたけど再会することなんてあるのかな。


 ……ライオット氏になにを言われるのか次第みたいなところもあるかぁ?


 ○


「ふぅ!多めにもらった銅貨が役に立ったな!」


「まぁ、地図一枚に銅貨一枚って高いような気もしたけど……」


「迷子になるよりはマシだって思おうぜ!休憩もできたし、ギアダへ向かうぞ!」


「おぉーー!」


 宿屋に行くとたしかに地図はあった。


 でも、ここで覚えるには少し複雑すぎた。

 まぁ、二人とも頭がいい方ではないしね。


 なので、そこで売ってた複製の地図を買うことにした。

 もちろん疲れてたからブドウジュースを飲みながら休憩もした。

 ブドウジュースの味はこっちでも向こうでもあんまり変わらないね。

 美味いね。


「いやぁ、それにしてもいろんな人がいるんだね。さっきの宿のオーナーとかほとんどオオカミみたいな見た目だったよ。ホントに二足歩行してるオオカミって感じでね?」


「そうか?たしかにいろんな人はいるけど、別に普通だったと思うけどなぁ」


「そ、そうだよね。俺が一番珍しいくらいだよね?なんか忘れてた……」


 この世界で生きてきていないことがバレたら面倒だ。


 全部説明すると魔族じゃないことがバレちゃうからな。


 まぁ、そもそも異世界から来ましたって言われても信じないだろうけどさ。

 いや、たしか異世界人ってそれなりに居るんだっけか?

 そうだとしても魔族には関係ないか。


「いやぁ、外に出て浮かれてる感じだなぁ」


「そういえばなんだけどさ?あんまり聞いちゃいけないことかもしれないんだけどさ?」


「へ?どうしたのアル?」


 いつもは明るくて聞き取りやすい声のアルの声色が変わった。


 顔も下を向いているし、なんか意味ありげな顔をしている。


 なんか、重たいことを言おうとしていたりする?


「これは言いたくなかったら全然言わなくてもいいんだけどさ?ユージってあそこに来るまでなにしてたんだ?もちろん!言いたくないんだったら言わなくてもいいんだぜ!?」


「……アル……」


「なんか、聞くしな。異常種って大変だってな。しかも、ユージの場合は人間みたいな見た目だからな……いや、聞かなかったことにしてくれ。ごめんな?」


 俺の過去について質問したアル。


 その後、それをはぐらかすようにして口を開いていた。


 言えない……

 俺の過去のことは言ってはいけない。

 でも、それはアルが心配しているような理由ではないと思う。そこだけでも誤解を解く方法はないかな?まぁ、ちょっとだけならホントのこと言ったりしてもいいのかな?


「まぁ、そんな大した過去じゃないよ。まぁ、人間と一緒に生活してたこともあったからさ。だから知らないこととか――」


「そ、そうだったのか――そりゃそうだなぁ……」


「……うぇ?ど、どうしたの?アル?」


 俺が人間と一緒に生活していたというとアルが号泣しだした。


 もうそれはもう“ボロボロ”。


 このまま顔面が崩れ落ちるんじゃないかと思えるくらいには“ボロボロ”の顔をしていた。


「大変だったなぁ……もう大丈夫だからなぁ……」


「いや!そんなにアレすることじゃないんだよ!?マジで!」


「元気に振る舞わなくてもいいからさ?俺の前では泣いたっていいんだぜ?」


 いい奴!


 いい奴なのはいいんだけど勘違いしてる!!


 それとも人間と一緒に生活してたってそんなにヤバいことなのかな?てか、アレ?魔族って人間と喋れなくなかった?

 俺は自分の言ったことがとんでもないことだった気がして背筋が凍りそうになった。それはそれとして目の前のアルをどうすればいいのかわからなくてめっちゃ困惑してた。


 人間と暮らしてたっていうのは言わない方がいいね。そうした方がいいわ。


他にもたくさん同時連載してます!

もしよかったらみてみてね?

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