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のはらは白いTシャツに短いハーフパンツを履いている。(さっき見たように、足元はひまわりの絵柄の入ったサンダルを履いている)
三つ編みにしている髪には水色のリボンを巻いていた。
岬はTシャツに青色のハーフパンツ。頭には麦わら帽子をかぶっていて、その手には虫取り網を持っていた。
その肩には肩掛け鞄をかけている。(虫取り用の小さな木のかごも、その鞄の横に同じように肩にかけて持っていた)
足元は白いスニーカー。
空には明るい輝く太陽がある。
二人は歩いているだけで、その身体中に小さく汗をかいていた。
「夏だね」とのはらはいう。
「はい。夏です」とにっこりと笑って岬は言った。(そんな素直な岬を見て、のはらは楽しそうな顔をしてにっこりと笑った)
ずっと気にはなっていたのだけど、どうやらのはらにも妖精さんの姿は目に見えていないようだった。(その声も聞こえていないようだった)
そのことに安心するのと同時に岬は少しだけ寂しい気持ちを感じた。
妖精さんも途中でそのことについて確信したのか、こそこそと岬の頭の後ろに隠れるのをやめて、今はいつものように岬の(麦わら帽子の)頭の上にちょこんと乗っかるようにしている。
そんな妖精さんの姿は季節外れの雪玉のようにも、あるいは少し大きめの綿毛の花のようにも見える。
『ふう。それにしても暑いですね。どこか涼しいところに行きたいです』と妖精さんはいう。
そう言いながら、妖精さんは遠くにある緑の木々が作り出す小さな木陰をぼんやりと眺めていた。
夏に吹く風がとても気持ちいい。
汗をかきながら、そんなことを岬は思った。