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それが木原のはらと岬の初めての出会いだった。
その美しい黒髪を三つ編みにした木原のはらはじっと、怖い顔をして岬のことを見つめている。その顔や雰囲気は怒っているときの岬のお姉ちゃんそっくりだった。
岬はどうしていいのかわからずに、しばらくの間、ずっとそのまま硬直していた。するとしばらくして、のはらは(雰囲気を和らげて)にっこりと笑うとつかつかと歩いて岬の目の前までやってきた。
のはらはサンダルを履いていた。(ひまわりの絵柄の入った夏らしいサンダルだった)
「あなた見ない顔だけど、どこの子?」と岬と視線を合わせてのはらは言った。
「あ、えっと僕は……」と言いながら岬は後ろを振り返って、自分の探索していた家の裏にある森を見た。
「あの森の向こう側にあるあるお家に住んでいるものです」と森を指差しながら岬は言った。
「あの森の向こうにあるお家?」とのはらは言った。
岬が振り返ってのはらを見ると、のはらは額に指を当てて難しい顔をしながら「……あっちの森の向こう側にお家なんてあったからしら?」と小さな声でそう呟いた。
それからのはらはまた岬の顔をじっと見つめた。