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その日から、岬はずっと妖精さんと一緒にいた。
寝るときも、お風呂に入るときも、食事のときも、家の中にいるときも、外に遊びに行くときもずっと一緒だった。
その間、たまに岬が妖精さんと会話をすると、美波お姉ちゃんは「岬はまた見えない友達とお話をしているの?」と、ちょっと呆れた顔をしてそう言った。
岬が悲しそうな顔をするとお父さんは「まあ、別にいいじゃない。案外僕たちには見えないだけで、本当に岬には妖精さんが見えているのかもしれないよ。ねえ、岬」とにっこりと笑って岬に言った。(お父さんにそう言われて、岬は少しだけ嬉しそうな顔をした)
『岬くん! ほら、見てください! こんなに綺麗な花がいっぱい咲いていますよ。綺麗ですね!』
とふふっと笑いながら、少しだけ興奮した様子で妖精さんは岬に言った。(妖精さんは岬の頭の上でぴょんぴょんと跳ねるようにしていた)
「本当だ。すごく綺麗だね」
たくさんの色とりどりの綺麗な花が咲いている場所のすぐ近くまで行って、岬は言った。
「こんなところにこんなに綺麗な場所があったなんて僕全然知らなかったよ」と岬は言う。
『本当ですね』と妖精さんは笑いながら岬に言った。(そんないつも明るい妖精さんとお話をしながら、岬もにっこりと笑った)
「ちょっと!! あなた、そこでなにをしているの!」とそんな大きな声が聞こえてきたのはちょうどそんな話をしているときだった。
驚いた岬が屈んでいた体を伸ばして頭を上げて声のしたほうを見て見ると、そこには一人の女の子が立っていた。
その女の子は、ちょうど岬と同い年くらいの年齢の女の子だった。