始まる夏
詩・短編を書いてみました
気に入っていただけるか分かりませんが
一生懸命に書いてみました(^_^)
1000文字以内で書いてあります
物語の断片や本の1ページのようなモノだと思いながら
暇なときにでも読んで
楽しんで頂けると幸いです(^_^)
こんな季節だからだろうか…。
気持ち良い風を浴びたくなった私は、
丘の上から街や海辺を見ていた。
街は夏に向けた準備を始めている。
心が落ち着くような暖かさを持っている風の先には、
空を支える大黒柱のような大きい入道雲が出ていた。
今年になって初めて現れたからなのか、
少しの間、
その雲を眺めてしまう。
どうも、
夏というのは人を切なくさせるのが好きみたいだ。
風が吹く。
それにつられて草が揺れる。
すると、
鳴き声かと思うような草の擦れた音が私の耳に届いた。
もし、
この鳴き声が「ここから立ち去れ」という威嚇だとしたら、
私は早く立ち去らないといけない。
でも、
もしそうだとしても、
もう少しだけは居させてほしい。
もう少し、
ここの想い出に浸りたっていたい…。
ふと昔を思い出す。
夢を追いかけると言って私の手を離した彼は…。
知らない世界を見たいと言って私から離れていった彼は…。
本当だったら、
どんな場所から、
どんな世界を見て、
どんな事を思っていたのだろう。
虫がサナギが成虫へ変わるように、
子供から大人へ変われたのだろうか。
きっと、
変われていたに違いない。
そして、
その経緯を楽しそうに嬉しそうに私に話して、
次の世界へ向かう準備をしていたのだろう。
また風が吹く。
入道雲が少し流されている。
「私の想い出も流してほしいな」
その空には、
飛行機雲が一直線に伸びていて、
夏の始まりを教えてくれていた………。