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第五話 顔はイケメン心はイケメンこれな~んだ?

──【光魔法】スキルをアンロックしました──


女神と共に転移魔法で何処かに飛んだ直後、脳を直接かき混ぜられた様な感覚に襲われ、俺はその場で強い吐き気を催してしまう。

しかし、昨日この世界から水しか飲んでいない身のため、えづくだけで何も出てこなかった。


「ちょっと、大丈夫?人の目の前でいきなり吐かないでよね!」


「てめえッ⋯⋯!ハア⋯⋯いきなり何すんだ⋯⋯ハア⋯⋯ハア⋯⋯」


息も絶え絶えに勝手に連れられたことに抗議するが、俺はその場でまた下を向いてしまった。


「あー⋯⋯悪かったわよ。ちょっと待ってなさい──」


そう言ってクソ女神はその場から消える。と思ったら20秒程で何かを手にした状態でまた現れた。どうやらさっきの転移魔法を使ったらしい。


「ほら、水よ。」


そうして女神は手に持った袋を渡してきた。中を覗いてみると綺麗な水が入っていたので、有り難く頂戴する。


その後5分が経過し大分落ち着いてきたので、若干の気分の悪さは残るがなんとか顔を上げる。ここは何処かの街の裏路地らしい。周囲には整えられた石レンガで作られた家の外壁が見え、通路の先には人の往来も確認できた。


周りをキョロキョロしていると女神がおずおずと口を開いた。


「その⋯⋯さっきはごめんね?他の異世界人はこの魔法を使ってもピンピンしてたから大丈夫だと思って⋯⋯」


こういうのも何だが、俺は以前の世界では乗り物に対して決して弱いわけではなかった。しかし、あんな移動の仕方は経験したことなど勿論無いからこんな反応をしてしまうのは当然のことじゃないだろうか。


「──まあ許すからその代わり飯を奢ってくれないか?俺、この世界に来てからまだ何も食べてないんだが」


「ええ、それくらいならでいいならこっちも助かるわ。でも初めの予定が終わってからでいい?すぐ終わるから」


女神は先程までとは大きく変わってニコニコしながらそう言った。登録に2時間も3時間もかからないだろうし俺はその意見に同調する。


そして俺と女神は裏通りに面したドアから建物に入っていく。

建物の中には同じような服装をした人たちがせわしなく動いている。が、誰も俺たちのことを見ていない。まるで認識していないかのようだった。

そうやって俺達は建物を上っていき、とある部屋の扉を開ける。

その中には30歳くらいの黒髪のイケメンが椅子に座って書類と向き合っていた。


「マスター、連れてきたわよ」


マスターと呼ばれた黒髪の男性はこちらに顔を上げ、笑顔で発言した。


「やあ、君がカネコ ケンジくんだね?私はマツダ キンヤ、君と同じ日本人だよ」


⋯⋯今地味に爆弾発言が合ったような気がする。男性の顔を観察してみると確かに日本人っぽい顔立ちをしている。かなりの美形だったので、一瞬疑ってしまった。


「どうも、カネコ ケンジです。ええと、マツダさん⋯⋯はどうしてここにいるんですか?」


「いきなりその質問なんだね⋯⋯僕は10年前にこの世界に召喚されたんだ。まあそこから紆余曲折あって今はここのギルドマスターをやらせてもらっている」


そんなに前からこの世界にいるのか。つまりどちらの世界でも俺の先輩に当たるってことなんだな。


「それじゃあ本題に入ろうか。私は今から君をギルドに登録する、それでいいね?」


「はい、そうらしいです。宜しくお願いします」


俺は素直に頭を下げる。マツダさんはそれに対して笑顔で頷くと、机の端にあった鉄板を持ってこっちにやってくる。


「これに登録するんだけど、そのためには少し君の血液が必要なんだ。ちょっと手を出してくれるかい?」


そう言われたので俺は素直に右手を差し出す。するとマツダさんは腰に下げた小さなナイフを取りだし、シュッと振ってきた。


「いてえええええうおおおおお」


俺は思わずその場でパニックになる。


「あんた、よく見てみなさい。そんなに切れてないわよ」


女神の声で俺は人差し指の腹を見る。そこには僅かに切り傷があり、そこからじんわりと血が滲んでいた。あんなに大きくナイフを振ったのにこれだけしか切れてないの?マツダさんってもしかしてすごいんじゃ?


俺が目をぱちくりさせていると鉄板に指を押し付けるよう言われたので、ゆっくりと人差し指を当てる。すると、鉄板から白い光が発せられ、文字が浮かび上がった。


カネコ ケンジ Lv1


HP50/50

MP50/50


ATK 2

DEF 3

INT 5

MDF 2

AGI 2

LUK 7


「え、弱っ」


俺と女神の声が重なった。マツダさんも盤面を見て苦笑いしている。この世界のレベル1がどんなものか知らないけど、そんな俺でもこの弱さは分かる。数値2って何だよ⋯⋯


「まあ努力すればいつかは強くなるし、頑張ってね。君が何の目的でここに来たのかは知らないけど、応援してるから」


マツダさんはそう言って俺を励ましてくれた。この人本当凄い。もし俺が雌なら間違いなく今ここで妊娠してる。


「はい!頑張ります!ありがとうございました!」


「帰りはフラン様についていってね。次ギルドに来るときはこのカードを見せてくれればいいから」


俺は緑のカードをもらう。そこには俺の名前とD3という文字が書かれていた。恐らくこれは会員証的な役割のものだろう。


最後にもう一度挨拶をし、俺と女神は部屋を後にする。その後建物を出て二人で会話する。


「無事登録できたわね。それじゃあ今からご飯に──」


「──ようやく見つけたぞ」


その声に振り替えると、そこにはこれまた青い髪のどえらいイケメンが顔に怒りを浮かべた様子で立っていた──

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