第三話 異世界モノにありがちなアレ
今回は細かく改行を行ってみましたがどうでしょうか。意見などあれば是非宜しくお願いします。
夜を一人で明かす手段を持っていなかった俺は、あの後ヤリチンとビッチどもにしぶしぶお願いして近くで寝ることを許してもらい無事朝を迎えた。
流石に俺という邪魔者が近くにいたからか、それ以上事が行われることはなかった。
赤い髪の女から少し聞いた話には、金髪サラサラくんは商人から成り上がった貴族であり、一緒にいた女達はそのメイドらしい。
なるほど、昨夜は暗くてよく見えなかったが言われてみると戦いには向いてない服装をしていた気がする。
そして、後の二人の男は雇われた冒険者で今回の旅の護衛について来ていたと。
ちなみに初めに俺が遭遇したときにはモブ美Bはその場におらず、これから乱交に参加する気も無いらしい。
彼女曰く、金髪サラサラくん──ノーシェン男爵と呼ばれていた──はこの世界でも特別で、普通の人はあんなことはしないとのこと。
流石に日常的にあんなことが行われていたら、こっちの世界でもニートになっていたと思う。
何故こんなところにいたかという事情はわかったが、俺からしてみれば身分なんて関係なく、ただ道端でハメを外す倫理観崩壊集団というレッテルが剥がれることは無かった。
外面では夜の安全を確保してくれる彼らに媚びつつ、ささやかな反抗として俺は集団から少し離れて眠りについた。
朝起きるとそこには誰もおらず、既に集団は旅路に戻ったと思われた。俺は立ち上がり、昨日教えてくれた方角に歩を進めるのであった。
「⋯⋯なんじゃこりゃ?」
草原を歩いていた俺の視線の先には、金色に輝くキノコらしきものが生えていた。
この世界がどんな世界なのか今だよく理解していないが、ここまで綺麗に輝くキノコはこちらでも希少に違いない。
そう考えた俺は着ていたジャージのポケットにキノコを入れようとキノコに触れた瞬間、
──ゴールデンマッシュルームを獲得しました──
──【採集】スキルをアンロックしました──
謎のアナウンスが俺の頭の中で響いた。
幻聴にしてはやけにはっきりと聞こえた気がする。
もしかして、異世界転生モノの話にありがちな例のあのスキルが獲得できるかもしれない。
黒歴史を残さないために、周囲に誰もいないことを確認して、心踊らせながら俺は大声で宣言する。
「──ステータス!!!!!!」
⋯⋯
⋯⋯⋯
⋯⋯⋯⋯
10秒程度待ってみたが、何かが変わる様子もなかった。
徐々に顔が熱くなっていくのがわかる。
大の大人が一体何を叫んでいるんだ、恥ずかしい。
あまりの恥ずかしさに身悶えていると、遠くで青い髪の女がこちらを見て笑っているのを見つけてしまった。
あの笑い方には見覚えがある。
「──ってあれ、俺をここに放置した女神じゃねえか!」
こうして俺はこの異世界旅の黒幕と再会を果たすのだった──