表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編1気がつけば異世界
9/168

第8話 話せることは大事なこと

 足を地面につけると、少しフラついた。

 頭に血が上ってたらしく、鼻のあたりがジンジン する。



 鼻血は嫌だな。出ませんように。



「☆¥%♪$$%¥!」



 彼が腕をつかんで支えてくれる。



「だ、大丈夫です。ありがとうございます。」



 咄嗟にお礼を言うと、彼の顔が凍りつく。



 …いやね?別にリザードマンの表情なんてわかんないけどさ。

 ほら、空気とかさ、微動だにしない身体に剣呑な感じの目がね?普通じゃないよ〜って教えてくれる訳ですよ。



 何にしろ心当たりが無いので、キョトンと彼を見つめ返していると、しばらくしてからふっと空気が軽くなった。

 彼の目にも先程までの剣呑さは無い。



 (何だったんだろう…?)



 疑問は残るけど、言葉が通じないので確認のしようがない。

 わかっていたけど、言葉の壁は厚いみたい。



「%$☆€♪。」



 声を掛けてから、彼は私の左手をとって歩きだす。

 相変わらず何を言っているかわからないけど、手を引かれるまま私もついていく。



 (まぁ、この状況なら『ついて来い』に決まってるよね。)



 彼に手を引かれながらも、周りの景色を見る。



 広場は小さな公園くらいあって、石畳が敷き詰められている。綺麗なピンク色の石で、ちょっとオレンジが入ってて桜貝みたいだ。



 広場の真ん中には噴水があって、白い水が勢いよく噴き出していた。



 (…ん?白い水?

 いやいやスルーだ。スルーしよう。)



 ここは異世界。ここは異世界。



 ミントグリーンの空があるなら、白い水もある。

 むしろ違和感少なくてマシじゃないか。紫の水とかだったらどうするの?



 (…ぶどうジュースみたいで有りかもしんない。)



 じゅるっ。あらいけない。ヨダレが…。



 アホなことを考えつつ、気分が上昇してきたところで、気を取り直す。

 今すべきなのは、精神的ダメージを極力減らすこと。私の取り柄はこの前向きな思考だ。ポジティブシンキングでいこう。



 空や水の色なんて、気にしてもどうにもならないものは置いておこう。何より今は移動中で、1番気になるのは目的地だ。



 (…何処に連れていかれるんだろう?)



 ラノベなら、偶然知り合った人に助けてもらうか、トリップ先の権力者に保護されるかが多いパターンだ。

 他には、警察みたいな組織に不審者として捕まるとか、最悪なのは奴隷商に売り払われる、何てのもあった。



 ちなみに、私の手を引いているリザードマンは一般市民ではないみたい。

 服装を見ててそう思った。



 黒いノースリーブの詰め襟に黒いズボンをきちんと着込み、その上に黒の皮のアーマーを装備し、腕には黒い籠手をしている。さらには、足元には膝まである黒いブーツを履いていた。



 とにかく黒尽(くろづ)くしだ。

 彼の体色と馴染みすぎて、最初はアーマーを着てるくらいしかわからなかった。



 (これだけ黒で揃えていると制服っぽいなぁ。防具も黒だし…軍人さんかな?)



 …目的地にはあまり期待しないでおこう。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=830034175&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ