第68話 落ち葉の謎
「ハルカ。どういうことか教えてもらえるか?」
えっ。…ああ、はいはい。
クルビスさんに聞いてから考え込んでた。
「えっと、私が森にいた時には、すでに地面には大量の落ち葉がありました。
森の中だから当たり前だと思ってましたが、クルビスさんが落葉は時期的に珍しいとおっしゃったので、来た時のことをもう一度思い出してみたんです。
そしたら、私が来てから落葉したにしては、すでに地面にあった落ち葉が多すぎる気がして、落ち葉の量をお聞きしました。」
フェラリーデさんも交えて話していた時、私が来たから気温が下がったんじゃないかってことだった。
私が来てから落葉したなら、もっと葉が落ちるのを見ててもいいだろうし、絨毯みたいに敷き詰められた落ち葉を踏みしめることはなかったんじゃないかな。
…と思うんだけど、上手く伝わったかな。考えてる途中で説明求められたから、まとめる時間がなかったんだよね。
「…成る程な。俺は落葉していると聞いて森に来たから、地面に落ち葉があっても気にしていなかった。
朝の気温の影響だろうと思っていたが…ハルカが来た時にすでに大量に落ちていたなら事情が違うな。…森に来てからは目立った落葉はなかったんだろう?」
「はい。確実じゃありませんけど…。」
よかった。ちゃんと言いたいことは通じたみたい。
私のせいとは言い切れないんだけど、来た時の状況と気温の低下のタイミングがねぇ。関係ないとは思えないから、一生懸命思い出しましたよ。
「いや。大量に落葉していたなら、印象に残るだろう。…それとも、ハルカの故郷では、葉は一斉に落ちるのか?」
そんな不思議植物知りません。
…もしかしたらあるのかもしれないけど、一般的な植物じゃないだろうから、無いものとして答えよう。
「いいえ。少しずつ色が変わって少しずつ落ちるんです。」
で、あってると思う。常緑樹もあるけど、言い始めたらキリがないし、今の話題は「落ち葉」だもんね。
だから、一斉に落ちる葉なんて知りません。
「なら、目立った落葉はなかったんだろう。今話を聞いて思い出したが、昼にここに来た時の方が音が軽かった。ポムの木は落葉する時に色が変わるだけじゃなく、葉の水気も無くなる。だから、落ちたばかりの葉ほど乾燥していて割れやすい。」
ああ。そういえば、パリパリ音がして、足音消すとか出来なかったんだっけ。
それで、ポムの実を見つけた時、ひよこもどきから隠れるのあきらめたんだよね。
「そういえば、つま先が触れただけで割れてました。だから、落ち葉を踏んだ時の音がすごく響いて、小さい動物を脅かしちゃったんですよね。」
思い出すまま口にすると、クルビスさんが聞いてきた。
「小さい動物?」
「ええ。黄色くて、両手に乗るくらいで、ふわふわした毛で覆われてました。」
ひよこもどきの特徴を説明すると、クルビスさんは驚いたみたいだった。
目を見開いてから細めて…顔をしかめてるみたい。
「っ。…それにはかぎ爪がついていなかったか?」
そうです。良く知られた動物なのかな。リスみたいな。
コクコク頷いて、答えを返す。
「そうです。枝を移動する姿がとっても可愛くて。」
「可愛いっ?」
何故かクルビスさんがギョッとした声で言う。
え?可愛くないですか?肉食じゃないみたいだったし、かわいいひよこさんです。
「?小さいですし、ふわふわしてておとなしそうだなって…。」
思ったんですけど、クルビスさん立ち止まってる。
そんなに驚きました?




