第64話 いろんなお店
人ごみがまばらになってくると、周りのウワサ話も聞こえなくなった。
1番騒がしい場所は抜けたみたい。
聞きたいことはいろいろあるけど、今は我慢。
道が空いてきたので、クルビスさんの後ろから少し横に出て周りの景色を見る。
このあたりは湯呑型の建物が多いんだな。
ただ、さっき見たのとは違って下の部分がお店になってるみたい。
木のドアなのは同じだけど、大きなドアが観音開きで開け放たれていて、中のお店の様子が良く見える。
草みたいなのをたくさん吊るしてるお店、入口に色鮮やかな布が幾重にも下がっているお店、綺麗なビンがたくさん並んでいるお店もあった。
…何のお店なんだろう。
さっきは人ごみがすごくてお店はほとんど見えなかったんだけど、見えたら見えたで何のお店か全然わかんないや。
(ちょっと予想出来ないなぁ。まあ、異世界だもんね。知らない品物ばっかりだろうし。でも、染物なんかは共通する部分があるみたいだったけど…)
歩きながら、クルビスさんに言われたことを思い出す。
たしか、ココの布だっけ?沖縄の紅型に似てる布なんだよね。私の自作のシュシュを見てその話題になったんだっけ。
着替えの帯と色が似てたから、今はそれで髪をまとめてる。異世界のものは身に着けないほうがいいんだけど、髪はまとめないと邪魔だし、他に無いし、帯と色が似てるから大丈夫だろうとつけることにした。
何か言われるかなって思ったけど、戻ってすぐに外套を着たから、シュシュはフードで隠れて気付かれることはなかった。
(さっき見た女性たちは花飾りをつけてたなぁ。こっちではアクセサリーってああいう感じなのかな?)
シュシュに意識がいったせいか、先程見た女性たちの恰好が頭に浮かぶ。
昔見たインド映画では女性が髪に花を飾ってた。あれに似てる気がする。
まあ、トカゲさんに髪の毛は無いから、頭に布を巻いてそれに挿してたみたいだけど。
他にも、うなじのところに花飾りがついてる女性もいた。後ろ姿しか見てないけど、あれはネックレスなのかな?いろいろ種類があるのかもしれない。
アクセサリーショップとかあったら通りすがりに入口だけでも見たいんだけど、そういうお店はなさそう。
服屋さんらしきお店も見当たらないし、この辺にはそういうお店は無いのかな。残念。
もしかしたら、どこかのお店の中に入ったらあるのかもしれないけど、今は見に行くことは出来ないんだよね。とほほ。異世界の小物や雑貨にもすごく興味があるんだけどなぁ。
(ここから帰るにしろ帰れないにしろ、いろんな品物を見れるだけ見ときたいなぁ。観光客ってことでどうにかなんないかな?)
ダメ元でクルビスさんに交渉してみよう。
なんかクスビスさん偉いさんみたいだし。




