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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編3私に出来ること
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第60話 …反省も大事

 私が恐る恐る答えると、クルビスさんは大きく目を見開いた後、目を閉じて動かなくなった。

 えっと…。私の年齢がそんなにショックだった?



 (こっちの27歳って、人間では…5歳半?うわ~。そりゃショックだわ。)



 私は立ち直ってきてるけど、クルビスさんはこれからだよねぇ。

 さっきから立ち止まったままなんだけど、どうしようかな。



 (…よし、もうしばらく待ってもこのままなら、クルビスさんに声をかけて、とりあえず調査に向かうように提案してみよう。)



 私がこんな所であんな質問するから止まっちゃったんだよね。反省。

 どんなビックリ情報が飛び出すかわからないから、今後は、質問する時は時と場所と場合を考えてからにします。



 …クルビスさん固まっちゃってるなぁ。

 ごめんなさい。お仕事なのに、余計なこと言って。



 何だか時間と共に申し訳ない気持ちが膨れ上がってくる。

 だからってわけじゃないんだけど、クルビスさんに近づいて、空いてる方の手で背中をたたく。



 ポンッポンッギュッ



 え?ギュッ?

 なんで私クルビスさんに抱きしめられてんの?



 ただ、気持ちはわかりますよって背中をたたいて…あ。

 自分のやったことを思い返して、失敗したことを悟る。片手をつないで、空いた手で背中をたたいたら…抱きしめるような形になるよね。



 (わーっ。わーっ。私のバカーっ。そんなつもりじゃなかったのに~っ。)



 いつも落ち込んだ妹にしてたみたいに、ちょっと背中を軽くたたこうとしただけなのに〜っ。

 内心大慌てだけど、失敗しましたって顔に出すのはシャクだから、何でもないフリをする。

 にしても、どうしよう。



 (そうだっ。ここは、当初の目的どおり元気づけようっ。そんで、そのまま流そうっ。そうしようっ。)



「…落ち着きました?」



 上を見上げて聞いてみる。

 くっ。この体勢だと、首の角度がキツイ。でも、笑顔。



 元はと言えば、私が原因です。

 かなりショックでしたけど、こんなことでお仕事の邪魔は出来ません。



「…ああ。」



 クルビスさんが私の頭をポンポンッとなでながら答える。

 年齢聞いた後じゃ、この扱いに文句言えないなぁ。クルビスさん、絶対成人してるし。そうなると100歳超えてるってことになるし。



「…すみません。すっかり立ち止まっちゃいましたね。早く森に行きましょうか。」



 言いながら、クルビスさんから身体を離す。何でもないように。自然に。

 クルビスさんも頷いて、また私の手を引いて進みだした。



 しばらく進むと、突き当りに階段が見えてきた。

 あそこから上に出るのかな。



「あれを上がると地上に出る。そしたら本部の裏手に出て、そこから森の入口の方へ向かうつもりだ。」



 この階段を上っていくんですね。で、裏手の道を使うと。

 その道なら誰かに会うこともあまりないってフェラリーデさんも言ってたし、森に着くまでフード被っておとなしく俯き加減で歩けば大丈夫だよね。



 私がフードを被りなおしていると、クルビスさんが立ち止まってこっちに向き直る。

 おや。なんでしょう。



「ハルカ。外に出たら森までおしゃべりは無しにしよう。俺と話していると、どうしても顔や髪が見えるからな。」



 そうですね。クルビスさんとは身長差があり過ぎて、話してるとどうしても顔が上向きになっちゃいますし。

 それに、しゃべってて変に注目集めても困るし。



「はい。わかりました。」



 私が答えると、クルビスさんが目を細めて笑う。私もつられて笑い返す。

 何だかすっかりこの表情にも慣れたなぁ。すごく安心する。



 さっきのギクシャクした感じも無くなったし、いざ、森の調査へっ。

 …先に街を出ないといけないんだっけ。無事に出れますように。

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