第55話 地下って広い
やっと地下に着きました。
これで降りれるっ。
「ありがとうございました。」
階段を下りきるとクルビスさんから急いで降りた。
ああ、地面に足が着いてるのって落ち着く。
「…。こっちだ。フードをもっと深く被ってくれ。」
クルビスさんに手を引かれて、慌ててフードを被り直す。
そのままついて行くと、大きな入口にたどり着いた。
ドアは付いてなくて、中は広い空間が広がっていた。
うわー。広いなぁ。小さめの体育館って感じ。
「鍛錬場だ。この先に地上への出口がある。」
ここを通らないと外に出れないんだ。
真ん中をまっすぐ突っ切て反対側の入口に向かっているから、その先に出口があるんだろうな。
そのまま進んでいると、誰かが反対側の入口から入ってきた。
カーキ色のリザードマンだ。顔に黒い模様がある。
「シード。どうした?」
クルビスさんが近づいてくるカーキ色のリザードマンに何かあったのかと聞いている。
あのリザードマン、何か見たことあるような…。
「どうしたじゃねーよ。なんだよそれは。」
それ?それって何?
クルビスさんと私を交互に見てるけど…。
「そっちまでいったか。」
「ああ。何事だって、ここに来た連中も騒いでるぜ。」
よくわからないけど、お仕事の話かな。
おとなしくしとこう。
「そっちのは…。さっきの嬢ちゃんか?」
さっきの?…あ、そうだ、カウンターにいたリザードマンだ。
尻尾がクルビスさんより太いなあ。身体は細身なのに。
「もう平気なのか?」
「ああ。これからもう一度森の調査に行く。彼女も連れてな。リードの許可も出た。」
クルビスさんが端的に説明する。
それを聞いて、カーキ色のリザードマンは頷いた。
「成る程な。リードが大丈夫っつうんならいけんだろ。気ぃ付けて行けよ。他の連中には上手く言っといてやるから。」
「ああ。頼む。」
何かわからないけど、お話は終わったみたい。
話が終わると、カーキ色のリザードマンが近づいて来た。
「よお嬢ちゃん。無事で何よりだ。俺はシード。さっき事務局のカウンターにいたんだけど憶えてるかい?」
「ご心配ありがとうございます。もちろん憶えています。私は里見遥加と申します。おかげ様で元気になりました。」
自己紹介されたので、フードを取って胸に手を当てて自己紹介を返した。
シードさんって言うんだ。クルビスさんと親しそうだな。同僚なのかな。
「しっかりした嬢ちゃんだな。技術者かい?」
「いや。一般住民だ。朝から森を通ってここに来たらしくてな。彼女にも一緒に森に行って、変化がないか見てもらうことになった。」
「へぇ。ジー様たちの使いかい?」
ジー様?誰のことだろう。
っていうか「お嬢ちゃん」って…。いくつに見られてるんだろう。
聞きたいことはあるけど墓穴ほったらマズいし、あまりしゃべらないようにするってフェラリーデさんと約束したしなぁ。
よし、クルビスさんにパースッ。よろしくお願いします。




