第48話 準備しましょう
「ああ。こちらこそよろしく頼む。」
クルビスさんが目を細めて微笑んでくれる。
うん。クルビスさんと一緒なら大丈夫。
「ありがとうございます。ハルカさん。それでは準備しましょうか。そのまま外に出るわけにもいきませんし。」
え?服は着替えましたけど…。
あ、入院着でしたね。これ。
「そうだな。森の中は冷えるし、その恰好じゃ薄着過ぎる。髪も隠したほうがいいだろう。何か羽織る物もいるな。」
ああ。そうか。黒一色の髪は珍しいんだっけ。
冷えるなら上に着るものは欲しいし。よろしくお願いします。
「ええ。少し待っていて下さい。着替えと外套を取ってきますね。」
フェラリーデさんはそう言って隣の部屋に行き、しばらくしたら戻ってきた。
手には鮮やかな色の布を持っている。
「こちらに着替えていただけますか?肌着はそのままで結構ですので。」
ガーゼみたいなワンピースってやっぱり肌着だったんだ。柔らかくて気持ちいいもんね。
渡された服は落ち着いた黄緑色の生地だった。今着てるのよりちょっとだけ厚みがあって、しっかりした生地だ。
渡されたサンダルも足首に留め具があって、すっぽ抜けたりしなさそう。
帯は山吹色で黒色で南国っぽい模様が入ってる。服と合わせたら綺麗だろうな。
「はい。じゃあ、浴室お借りしますね。」
早速着替えよう。
もう午後だし、時間が惜しい。
(調査にどれくらいかかるかわからないもんね。日が暮れる前に出来る限り調べたいだろうし。)
私は浴室に入って、ドアを閉めた。
シュルシュルと帯をほどき、上の白いワンピースを脱ぐ。
黄緑のワンピースを被って、山吹の帯を適当に巻き付けた。
こっちのワンピースの方が長いなぁ。さっきの白いワンピースがひざ丈なら、こっちはふくらはぎくらいまである。
変なシワが出来てないかチェックしてっと。よし、出来た。
今回は帯の模様がよく見えるように結び目が後ろにくるようにしてみました。
「お待たせしました。」
浴室から出て、新しいサンダルを履き、クルビスさんとフェラリーデさんのところに行く。
ついでに髪もまとめておいたから、もういつでも出かけられます。
「よし。行くか。」
クルビスさんとフェラリーデさんが立ち上がって迎えてくれる。
クルビスさんの手に何か布の塊がある。これが荷物?
「これはハルカの外套だ。フードもついているから、これで髪を隠してくれ。」
フード付きなんですね。受け取って広げてみると、ポンチョみたいな形だった。
シンプルな灰色がかった生地に銀色のボタン一つで止めるデザインだった。ボタンにも飾りがあって可愛い。
「これでいいですか?」
フードを被ってクルビスさんに聞いてみると、目を細めて頷いてくれた。
フェラリーデさんも微笑んでくれる。
「ああ。」
「よくお似合いですよ。」
よかった。変じゃないみたい。
よし、準備完了!




