第46話 帰れるの?
「素性を隠すことについては異論はありません。しかし、調査というのはどういうものなのですか?
協力したら、私は帰ることが出来るのでしょうか?」
何するかもわからないまま協力は出来ない。
帰れるなら喜んで協力するけど。
「…帰れるかどうかは今のところわかりません。空間に関する研究をしている者に聞いてみるつもりです。」
フェラリーデさんがゆっくり話し始める。
丁寧に言葉を選んでいるみたい。
「空間に関する研究…ですか?」
そういう研究してるんだ。
聞いてみるってことは、帰れるかどうかはしばらく待たないとわからないってことだなぁ。
(この言い方だと、異世界トリップって珍しい現象なんだろうなぁ。フェラリーデさんいろんなこと知ってそうなのに、わからないって言ってたし。この分だと、転移の魔法なんかも無さそう。)
「ええ。住民やものの移動に転移の術式を使いますので。場所の認識に関する研究が一般的ですが、空間そのものに関する研究もされています。」
転移の魔法あったし。
ものの移動だけじゃなく、ヒト…違う住民か、の移動もするんだ。
(宅配便と移動手段が合わさってるんだ。便利なものだなぁ。)
「その研究をしている方に連絡を取って下さるんですね?」
ここ大事。きっちり確認しとこう。
帰れるかどうか確認出来る唯一の手段だし。
「はい。すぐに連絡が取れるかはわかりませんが、早急につなぎを取ってみます。」
うん。その研究者さんにも都合あるしね。
連絡を取るようにしてくれるだけで恩の字です。
「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
胸に手を当てて、軽く上体を傾ける。
今の私に帰る方法を知る手段はない。それを探してくれるというのはあくまでフェラリーデさんの好意だ。
私にはお願いするしかない。
「いいえ。こちらも出来る限りのことはさせていただきます。ただ、代わりと言っては何なのですが、ハルカさんが最初にいらした場所についてもう少し詳しくお伺いしたいのです。」
と言っても…。さっき話したことで全部ですが。
これ以上の説明というと、直接案内することかな?
そうなると、御二方のどちらかに一緒についてきてもらうのが1番いいんだけど。
「えっと。詳しくと言われましても…。先程お話ししたことくらいで、他に特に目印になるようなものもありませんでしたから、後は一緒に来ていただいて直接案内するくらいでしょうか…。」
それも自信ないんですけどね。
同じような景色ばっかり続いていたし。
「直接か…。リード。この後俺がもう一度行くつもりだったんだが、ハルカを連れて行っても大丈夫か?」
え。クルビスさんと一緒に?
そういえば、最初にお会いした時も、クルビスさんが調査に来てて見つけてもらったんでしたね。
遥加さん帰れるかまだわかりません。
空間の研究者とはキィ隊長とエルフの長です。この2人に聞くまではわからないです。




