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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編3私に出来ること
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第37話 髪はしっかり乾かしましょう

 ポンッポンッポンッ



 ピンクの布をあてながら、髪を軽く叩くようにして水気を取ります。

 それにしても、この布、吸水力がハンパないわ。



 肌にあてた途端、水気無くなってサラッとしたもんね。

 髪の毛にも万遍なくあたるように拭いてたら、もうサラサラになってきてるし。タオルドライなんてもんじゃないよね。気温も高いし、ドライヤーいらなくない?



 オレンジの布もスポンジみたいに泡立ちが良かったし。異世界グッズすご過ぎる。

 今は、お風呂から上がって部屋の中央のイスに座って、髪を丁寧に拭いています。涼しい~。やっぱこの気候で長袖は暑いよね。



 服を着てみたんだけど、実は、ワンピースの内側にもう1枚肌着があったんだよね。キャミソールワンピースみたいな形で、やっぱり脇から下が縫われていなかった。

 色が同じ白だから気付かなかったんだけど、布の種類は違うみたい。柔らかくて、肌触りの良い…そうそう、ガーゼみたいな感じ。何枚か重なっているからこれも透けないし。



 帯も柔らかくて長かったから、ウエストのあたりをぐるぐる巻きにして蝶結びにしました。何か兵児帯(へこおび)みたい。柔らかいから苦しくないし、この服楽だなぁ。

 あ、患者用が苦しいわけないか。



(一応ブラジャーしてみたけど、この服ならそのまま着た方が気持ちいいかも。1人の時はそうしよっかな。)



 ちなみに、フェラリーデさんは今は席を外しています。何でも大きな袋がいるとか。

 隣の部屋には別の方がいるそうで、この部屋から出ないことを約束しています。念押しまでされた。







 お風呂から上がった時はすでにフェラリーデさんが待ってて焦ったんだけど、フェラリーデさんは気にしないで下さいって言って、冷たいお水を勧めてくれました。冷え過ぎてなくてちょうどいい温度のお水。



(美味しいお水っ。昔飲んだ湧水みたい。)



 って、あんまり美味しいから一気に飲んじゃったら、フェラリーデさんがおかわりを注いでくれた。

 ありがたくいただいてると、フェラリーデさんは私の髪を見て忠告してくれる。



「ハルカさん。髪がまだ濡れていますね。この気温では風邪を引いてしまいますよ。もう少し拭かれた方が良いと思います。」



(えっ。これでも結構乾いていると思うんだけど…。それに気温も…ああ、今日って「寒い日」なんだっけ。)



 驚きながらも納得して、返事を返す。



「そうですか?ならもう少し拭いてみます。」



「ええ。その方が良いと思います。特に地肌の水気はしっかり取ってくださいね。水気が肌に残ると身体に良くないので。」



 それは聞いたことある。特に、頭の地肌が濡れたままだと風邪引くんだよね?

 だから、地肌を乾かしてから、毛先に向かってドライヤーするようにって美容院で教えてもらった。



 フェラリーデさんに頷いて、ピンクの布でまた髪を拭きだす。

 すると、フェラリーデさんは私の荷物を見て言った。



「ハルカさんの服を入れる袋がいりますね。荷物を入れる袋は用意したのですが、服のことを忘れていました。

 大きいものがいりますね。取ってきますので、お待ちいただけますか?」



 私がまた頷くと、フェラリーデさんはあの穏やかな微笑みを浮かべてくれる。

 っ。だからっ。美形の微笑みは目に毒ですからっ。もうちょっと抑えて下さいっ。



 私が固まっていると、フェラリーデさんは立ち上がってドアの方に向かった。

 すると、ドアに手をかけたところでこちらを振り向く。



「ああ、そうだ。今、隣の部屋にはハルカさんは知らない者がいます。私の部下ですが、まだ顔は合わせないで下さい。

 この部屋から出なければ大丈夫でしょう。いいですね?ここから出ないで下さいね?」



 知らないヒト…ヒトじゃないけど、今のところ顔は合わせないほうがいいんだろうな。

 了承の意味で頷くと、フェラリーデさんはホッとした様子で部屋を出て行った。



 …あ、まだ、髪乾かしてるところだった。身体の向きを直して、地肌を拭く。



 ワシワシワシッ



 うん。手でさわっても濡れた感じはしないな。

 じゃ、後は髪の毛だけ。



 ポンッポンッポンッ

 ポンッポンッポンッ



「…クルビス?何してるんですか?」



 ビクッ。え、クルビスさん!?何で?何時の間に?

 私が驚いて振り返ると、クルビスさんが入口近くで立っていて、フェラリーデさんがクルビスさんを押しのけて部屋に入って来ているところだった。

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