第36話 異世界のお風呂
フェラリーデさんとクルビスさんが出て行ったので、早速お風呂に入ることにします。
その前に、手にいろいろ持ってるからこれ何とかしよう。
とりあえず、カゴ出して手に持ってる着替えとカバンを入れて…あ、そういえばサンダル持ったままだった。これは外に置いてこなきゃ。
さて、後は上着類だな。シワにならないように綺麗に畳みなおしてっと。カバンの上に置いとこう。
よし。後はお風呂に入るだけ。
(…そういえば、お風呂セットって今日も持ってたっけ?)
ゴソゴソゴソッ
あった。あった。最近忙しくて、終電ギリの場合が多かったから、帰りに駅近くにある銭湯入ってから帰ってたんだよね。
ちょっと高いけど、帰って寝るだけなのが楽だったし、何より広い湯船で手足を伸ばせるのが良くて通ってた。
(下着にタオルに…あれ。石鹸も入ってた。しかも新品だ。)
シャンプーとリンスとボディーソープはセットでケースに入れてたけど、石鹸まで入れてたんだ。覚えてないなぁ。
(まあ、シャンプー兼ボディーソープ兼洗顔クリーム兼トリートメントもあったし、これはいらないよね。)
下手に使って何かあったらマズいし。
ここって異世界なんだし、ここの物を使うようにしよう。
(タオルも使わずに置いておこう。用意してもらったし。たしか、オレンジの布が洗い用で、ピンクがバスタオルだったよね?)
あ、カミソリは持って行こう。ここの服って肌が見える作りだし。
さあ、お風呂お風呂っ。
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「ふぃ〜。」
いやぁ。お湯に浸かるとついつい声が出ちゃうよね。
昼間からお風呂なんて、ホント贅沢。
何か、ここまであっという間だったなぁ。
歩いてる間はこのまま野宿だったらどうしようって思ってたけど、クルビスさんに会ってからは驚くことばかりで、気が付いたらお風呂に入ってるし。
(とりあえず、私、入院って扱いなんだよね?監禁もしくは軟禁ってことか。
ヒトがいないなんて思わなかったけど、いないことに文句いってもしょうがないしなぁ。差別ないだけマシだよね。)
ラノベじゃ、ヒトの方が乱暴だったりしたし。
ラノベみたいなファンタジーな世界だけど、ヒトもいないけど、何て言うか、こっちの方が安全だよね?
乱暴なんてされなかったし、それどころか命助けてもらったし。
おとなしくしとけば、大丈夫そう。クルビスさんいるし。
(あれ?何で私クルビスさんの顔が浮かんだんだろ?)
クルビスさんの目を細めて笑った顔が出てきた。
最初は怖かったのに、今じゃ安心するもんね。
(安心?…ああ、最初に助けてくれたのクルビスさんだもんね。)
あそこで見つけてもらわなかったら、死んでたなんて。
ぶるっ。あ、なんか悪寒が。せっかく、温まってるのに。
怖い想像は横に置いておいて、楽しいこと考えなきゃ。
知らない場所にいるんだもん。マイナス思考はドツボにはまる。
(帰れるかわかんないけど、「異世界」なんて単語が出てくるんだから、その話は聞いてもいいよね?)
「異世界」って観念のない世界だと、聞いただけで変な人扱いになるけど、知ってるなら帰れるかどうかぐらいは聞けると思う。よし、そうしよう。
(そろそろ上がろう。ゆっくりしすぎちゃったなぁ。)
久しぶりだなぁ。こんなにゆっくりお風呂入ったの。
家じゃシャワーだし、銭湯も仕事帰りで疲れてるからさっさとあがっちゃうもんなぁ。
う~ん。さっぱりしたっ。




