第33話 お風呂がある!
慌ててフェラリーデさんの方を見ると、穏やかに微笑んでいた。
誤魔化すように微笑むと、フェラリーデさんの癒しのオーラが強まった気がする。何でだろ…。
「お待たせしました。こちらが着替えていただく服です。
…患者用で申し訳ありませんが、ハルカさんはしばらく医務室で保護する形になります。」
フェラリーデさんが衣装を広げながら説明してくれるのを頷きながら聞く。
患者用ってことは、入院着ですね。入院コース決定。
清潔そうな白い服。すその長いノースリーブだけど、脇から下がつながってない。
他には、帯みたいな細長い布に、サンダル…南国スタイルですね。帯みたいな布もきれいな赤だし。
「このトールのここから頭を通していただいて、前後の布を合わせるとこのテラで巻いて止めます。靴はこちらのサーシャを履いて下さい。」
フェラリーデさんが簡単に説明してくれる。
やっぱり帯だったんだ。テラっていってた。トールっていうワンピースはしっかりした生地だし、白だけど透けない。
うん大丈夫そう。1人で着れる。
サーシャっていうサンダルは、足の甲にかかる部分が麻布みたいな素材で他が木製だった。
(こんな感じのサンダル持ってたなぁ。もっとヒールの高さがあったけど…。)
…木製の南国スリッパ?そんな感じだ。
じゃあ、着替えようかな。この部屋暑いし。袖まくってるけど、やっぱシャツじゃ暑いわ。
「では、早速着替えてきますね。トイレお借りします。」
「…汗を流したらどうだ?とても暑そうだ。」
額ににじんだ汗を拭いながら、広げられた服をまとめてカバンに入れて立ち上がろうとしたら、クルビスさんが提案してくれた。
お風呂あるんですかっ。すごく助かるんですけどっ。
「ああ。そうですね。ハルカさんの服装では暑いでしょう。
ご案内します。こちらへどうぞ。」
私が期待に目を輝かせると、フェラリーデさんが案内してくれることになった。
やった!お風呂っ。
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さっき行ったトイレのドアが左端で、右端に同じような引き戸があった。
ここがお風呂かな?
「ここが浴室になります。
靴を脱いで、中に入ってください。先程と同じように、一通りご説明します。」
私の予想通り、そこは浴室のドアだった。
フェラリーデさんが説明してくれるというので、同じように靴をドアの横に置いて、中に入ってついていく。
使い方わかんないもんね。
中は大人が5人くらいでも余裕のある広さだった。結構広いなぁ。
壁際にカゴと袋が積まれてる。
「このカゴに脱いだ服を入れて下さい。
通常は洗濯物はこの袋に入れてこちらの機械に入れるのですが…。今から干しても今日中には乾きませんね。
女性の衣服を目立つ場所には干せませんから、少し待って下さいね。」
…もしやそれは洗濯機ですか?
円柱形の青い筒に黄色いフタが開いていた。
カラフルだなぁ。後で洗濯機か聞いてみようかな。
そのままフェラリーデさんは奥へと進んでいく。
奥にあった引き戸を開けると、右手側には壁沿いに水色の…イス?があった。左手側の壁には、楕円形の円盤のようなものが幾つかついていた。
「こちらが浴槽…お湯を溜めて浸かります。
こっちはリューズ、このタイルを押すと水がこの板から出ます。
少しさがって下さい。こうなります。」
ちょっと変わった形の浴槽だなぁ。壁際についてるんだけど、その壁が少し曲がっているのか、扇形みたいなフタがついてる。こっちのフタは水色だ。
後、リューズ…だっけ?そっちはシャワーだよね?
さがりながらそんな感想を持っていると、フェラリーデさんがタイルを押した。
すると楕円形の円盤から細かく別れた水が一気に出てきた。やっぱりシャワーだ。
しばらくすると勢いが弱まって水が止まった。
あれ?もう終わり?
「一定の時が経てば、自然に止まります。ハルカさんの故郷では、お湯を浴びますか?」
へ?お風呂はお湯でしょ?




