第31話 他の問題
「種族のことに関しては…ということは、他に問題点があるんですね?」
思ったことをそのまま口に出す。
どんな問題が出てくるやら。
「っ。ええ…。ハルカさんにはかないませんね。
おっしゃる通り、他にも問題があります。
ハルカさんの国の話です。こちらに無い技術、知識、発想…どれもすばらしいものです。
すでに申し上げましたように、ルシェモモは技術都市であり、技術は財産です。個人の持つ技術1つ1つが保護の対象でもあります。
…先程、ある程度の技術は一般に公開されているとのお話でしたが、こちらでは関係者以外は知りようがありません。
ですから、ハルカさんの持っていらっしゃる情報は非常に価値があり、かつ、不自然でもあるのです。」
フェラリーデさんは私に聞き返されてちょっと驚いた後、苦笑して説明してくれた。
あー。確かにそんなお話でしたね。納得して頷く。
(成る程ね~。普通知らないこと知ってたら怪しいもんね~。
これは話しちゃいけないってことだなぁ。ってことは…。)
思いついて聞いてみる。
「それなら、私の荷物もお預けした方がよろしいでしょうか?」
あ。フェラリーデさんがぽかんとしてる。
…クルビスさんもだ。表情わかんないけど驚いてるってわかる。
(え?でもそういうことじゃない?…話飛んじゃった?)
「…えっと。今のお話だと、私の知識は価値があってお金になるので、素人の…専門家じゃない私が知ってるのは不自然だから、周りに知られないほうがいいんですよね?」
考えながらも確認するように聞いてみると、フェラリーデさんが慌てたように頷く。
よしよし。あってる。
「先程のような技術の公開についてのお話は、そもそも私の持ち物が発端です。
違う世界のものなら珍しくて当然でしょうし、華やかなものは必ず質問されるでしょう。誤魔化すのも限界があると思います。」
私なら聞いてる。特にかわいくて綺麗なものは。
少なくとも「どこで買ったの?」くらいは聞くなぁ。
フェラリーデさんもクルビスさんも頷いている。…だよねぇ。
「それを未然に防ぐためには、まず、私の持ち物自体を知られないことです。
知らないものは尋ねようがありませんから。
…ですから、私の荷物を御二方のどちらかにお預けした方がいいのだろうかと思い、お尋ねしました。
話が飛躍してしまってすみません。」
胸に手をあて謝罪する。
ちゃんと伝わったかな?
クックックックッ。
ん?上から音が聞こえる…あ、クルビスさんだ。
顔を上の方に向けつつ、口を手で覆ってる。…笑いを堪えてる?
日本じゃ逆だなぁ。笑いを堪えようとすると下の方を向くもんね。
でも何で?
私が首を傾げていると、フェラリーデさんが大きく息を吐き出す。
あれ、フェラリーデさんはお疲れみたいですね。大丈夫ですか?
「リード。ハルカはわかってるみたいだ。
自分の立場も取るべき行動も。俺たちが隠す意味はない。」
笑いのにじんだ声でクルビスさんがフェラリーデさんに話す。
え?
「…そのようです。ハルカさんに先に言われてしまいました。」
苦笑しながらフェラリーデさんが話す。
先にって、荷物の話?




