第25話 私のいた場所
作中の都市の名前や説明は創作です。
遥加さんの個人的な意見として書きました。
正確な知識というわけではありません。
ご了承ください。
また、作者も科学技術には素人ですので、今後も多少変なところが出てくるかもしれませんが、広い心で見守ってください。
ゆっくり息を吸って覚悟を決める。
軽く頷いて話始めることにした。
「はい。大丈夫です。…どこからお話ししましょうか。
私がこちらに来たのは、先程…食事の前に少しお話した通りで、いつも通り仕事に行く途中でした。
歩いていたら、いきなり視界いっぱいに緑が広がって…正直なところ、最初は夢かと思いました。
でも、目の前に広がる森と踏みしめた落ち葉の音が消えなくて、知らない場所にいることがわかったんです。
私の住んでいた街には、落ち葉が積もる場所はほとんどなかったものですから…。」
神社とか、ちょっと離れた所にあった山なんかにはたくさんあったと思うけどね。普通の住宅街で落ち葉はゴミだから。
直前にいたのは公園だったけど、落ち葉はなかったしなぁ。
(このまま街の説明しよっかな。…早くても遅くても一緒だもんね。)
話の流れで決めて、説明を続ける。
「私のいた街は、桜各市と言いまして、桜各が街の名前で…市が街の規模を表します。
桜各市は街の中では大きな方で、住んでいる人の数が多く、物や人の行き来が活発でした。
この街は日本という国にあって、日本は四方を海に囲まれた島国です。
聞き覚えの無い国だと思いますが、他にも、アメリカやイギリス、韓国、中国…たくさんの国があって、世界にはおよそ200の国があります。」
知っている国名を挙げながら、乏しい地理の知識を掘り起こしていく。
(国名は言った。…次は国の…特徴かな?)
何か、フェラリーデさんが驚いているように見える。
クルビスさんは…わかんないや。
でも、私が怪しいってわかってたみたいなのに…。
あ、異世界から来たなんて思わないか、フツー。
勝手に納得して、考えをまとめながら話を進める。
「日本は技術の発達した国で、細かな小さいものを作るのが得意です。
この腕時計なんかもそうですね。
私の世界では、科学という技術が発達していて、電気を使って道具を動かします。
電気は雷のようなもので…あ、こちらに雷はありますか?」
説明しながら気付き、フェラリーデさんに質問する。
「っ。ええ。あります。
空から大地に向かって落ちる、光る巨大な魔素の力のことですね?」
急に話を振られて、驚きながらもフェラリーデさんが答えてくれる。
ここでも魔素か。ようはエネルギーってことだよね。
「はい。それだと思います。
…その雷の力を日常的に使えるようにしたのが科学技術です。
この腕時計も、電気の力で動いています。」
はずしたままの腕時計を指しながら、次の説明について考える。
(理科は得意じゃなかったんだよねぇ。
これ以上はパスだな。
よし、次は軽く歴史と文化だ。)
もっと、勉強しとくんだったと思いながら、私は次の説明に移ることにした。




