第24話 食後はほうじ茶
ご飯を食べ終えると、フェラリーデさんがお茶を出してくれた。
…いつ用意したんだろう?ポットもカップも変わってるよね?
「こちらは私が普段飲んでいるお茶です。もう魔素は補給されたようなので、後はこちらを飲んでください。」
あ、やっぱり、さっきのお腹いっぱいになった感じって、魔素が体に溜まったからなんだ。
「ありがとうございます。」
お礼を言って、ひと口飲む。
ん~いつものより美味し~。ん?いつもの?
知っている味に興味をひかれて、もうひと口。
ポム茶がミントティーとするなら、こっちはほうじ茶だった。
…なんか、見知った味が次々出てきているような…。
ありがたいんだけどさ。落ち着くし。
「…お口に合いませんか?」
フェラリーデさんが心配そうに聞いてくる。
しまったっ。ファンタジーっぽくない味に、意識が持っていかれてたっ。
「いいえっ。私がよく飲んでいたお茶にそっくりな味だったんで驚いたんです。」
あわてて説明すると、フェラリーデさんはホッとしたように微笑んだ。
ホントに私、食後はいっつもほうじ茶飲んでたんだよね。
だから、違和感無さ過ぎてかえって味に意識がいっちゃった。
「…そうでしたか。食事も大丈夫だったようですね。
お口にあったなら何よりです。」
フェラリーデさんが穏やかに話してくれる。癒しの声だな~。
ご飯も美味しかったし、私、今最高の昼休み堪能してるよね。
「ええ。とても美味しかったです。私の国にもよく似た料理があるんですよ。
違う国の料理が伝わったものなんですが、一般家庭でも広く食べられています。」
パエリアは家庭料理では広まっていないけど、チャーハンは浸透してるよね。
ご飯の感想をいうと、フェラリーデさんが興味深そうに聞いてきた。
「そうなんですか。
…ハルカさんの国には、この街とよく似た文化があるようですね。果物も知っているようでしたし。」
え?果物?
果物って、気候や環境によって採れるものが違うけど、だいたいの場所で採れるよね?
…水は無いとだめだと思うけど。
「…果物ってこちらでは珍しいんですか?」
気になって聞いてみる。
「この辺りでは珍しくありません。
しかし、採れない地域も多く、この街に来て初めて食べたという方も多いんです。」
なるほど。食べたことない状態でいきなりあの味かぁ。
驚きじゃすまないだろうなぁ。確実にハマるよね。
私の反応は違ったんだろうなぁ。知ってて比較してたもんね。
納得しながら聞いていると、フェラリーデさんが少し居住まいを正して話し始めた。
「トイレの使い方にも問題なかったようですし、ハルカさんは、我々のよく知る外から来た住民ではないようですね。
こちらへ来られた経緯といい、あなたの国の話といい、とても興味深いです。魔素も補給されたことですし、ゆっくりお話をうかがってもよろしいでしょうか?」
…きたか。
もっと最初に聞き出されるかと思ってたけど、重症患者だったもんなぁ、私。
気遣われているのがすごくわかった。
回復させてくれたし、ちゃんと話を聞いてくれるみたいだし、投獄や殺されるなんてことにはならなそう。
(…大丈夫。少なくともフェラリーデさんとクルビスさんは信用できる。)
信じてもらえるかわからないけど、話してみよう。




