第2話 空はミントグリーン
さて、あれから延々歩き続けてるが、同じ景色がこれまた延々と続く。
進んでいない様に感じ、途中から落ち葉を手の届く枝に刺して、同じところに戻ったとしてもすぐにわかるようにする。
それまでの道のりは良いのかって?いきなりの事態にそこまで何もかもは上手くいかない。私は非常事態への訓練を受けてる訳でもないし、こんな事態は誰だって想定外だろう。
必要と思えば、その場その場で改善していくしかないと思っている。
…昔、友人には行き当たりばったりだと言われたけど。
ちゃんと準備もするし、情報も集めるんだけどなぁ。
事実、進み続けているのは、歩いている道が最初は獣道の様だったのが、だんだんと人ひとりくらい通れる幅に広くなっていったからである。
救助は期待できないから、自分で周囲の安全を確認しながらどうにかするしかない。
進み始めてすぐに見たスマホは、当然ながら圏外だった。
まぁ、予想できたことなので、そこまで気にはしなかった。
だって森の中だし。
(しかし、こう同じような景色が続くと気が滅入るなあ。こんな状況じゃなきゃ、癒しの空間って感じなんだけど。
ここって道には見えるから、何処かで人に会えたら良いけど。日暮れまでに水場を見つけたいなあ。)
周囲に動物や生き物の気配はない。素人にどこまでわかるかわからないが、落ち葉はつま先が当たっただけでパリパリ割れるくらい脆いから、この周囲に何かが近づいたら音がするだろう。
見渡す限りはあの真ん丸な葉っぱの木ばかりだし、当分このうるさい落ち葉と付き合うことになるだろうから、耳に注意を向けていればいいと思う。
音が聞こえた時に逃げれるかどうかはわからないけど。
暖かいのでスーツのジャケットは脱いだ。
気温は、初夏の頃くらいだろうか。これ位なら上着はいらない。
春先の公園から一気に気温が高い所に来たため、汗をかいた。汗ふきシートで拭きたいが、もったいないからタオルハンカチで汗を拭き取る。
何処だかわからない場所では、頼れるものはこのカバン一つ。
節約は大事。
まだ、時間は午前中だろう。東の方に太陽があったし、位置もだんだん上に上がって来ている。太陽の移動に関しては、私の知識との差はなさそう。
…ちなみに、すでに地球ですらないと理解してる。
何でか?
空が綺麗なミントグリーンだから。
(まぁ、淡いミントグリーンだから、まだ違和感マシだけどね。)
最初の状況が状況だったから、限りなく地球以外の可能性が高いと思ってたけど、こうハッキリと見せられたら否定出来ない。
泣きそうになったけど、そんな暇は無いと自分に言い聞かせる。
日暮れまでに水場を探さないといけない。明るいうちに動かないといけないから、時間は惜しい。
起こったことはしょうがない。理由は理解出来ずとも、ここに来た異常さには説明がつく。
異世界トリップだと。