第20話 私のこと
部屋に戻って、フェラリーデさんに新しくお茶をついでもらい、話を再開する。
次々にカップにお茶を注いでいくけど、足りない様子は全然ない。
…あのポットにそこ迄入ってるようには見えないんだけどなぁ。
やっぱ、異世界って不思議なものがあるよね。
「お身体の具合はいかがですか?先程、拝見した限りでは、来た時よりも良くなったように見受けられましたが…。」
フェラリーデさんが優雅な動作でお茶を勧めながら聞いてくる。
うん。だいぶ楽になったんだよね。自分の格好が気になるようになるくらい。
…思考に余裕が出てきたっていうのかな。
「ありがとうございます。おかげさまで、ずいぶん身体が楽になりました。
こちらにうかがった時より、身体が軽くなっていて驚きました。ポムのお茶ってすごいんですね。」
ニッコリ微笑んでお礼を言い、自分の状態を答える。
それから、お茶をひと口。
うん。やっぱり美味しい。
…さて、そろそろ聞かれそうだな。
「そうですか。ポム茶が効いているようで、何よりです。
…先程、ハルカさんが朝から森の中にいらしたとのことでしたが、どの辺りにいたのか、場所を憶えていらっしゃいますか?」
あ、そっち?もっと事情聴取的なものを想像してました。
…これも事情聴取になるのか。
でも、さっきから話の流れでいくと、私すごく怪しい人なんだけど。
もっと、何処から来たんだ、的なことを聞かれてもおかしくないよね?
「ええと。最初にいた場所ですよね?
まっすぐ進んでポムの小道に出たので、途中で別れ道になってますよね?…そこから、私の足で3時間くらいなんですけど…。」
来た道を思い出しながら、なるべく具体的に説明する。
「あ、途中で、このポムの実、でしたっけ?
これがたくさんなっていた木がありました。」
説明の追加。
目印はこれくらいなんだよね…。
後は、特にないかなぁ。
あ、まだあった。
「あ、それと、迷わないように、途中から木の枝に葉っぱを刺してきたんです。私の目の高さくらいに…。
最初からじゃないんですけど、歩き始めて、30分くらいにはやり始めたんで、ずいぶん奥まで続いていると思います。」
私が思い出せる限り答えていくと、フェラリーデさんがにこにこと言ってくれる。
「そうですか。目印があるなら、探しやすいですね。
助かりました。…それで、先程お話の中に、3じかんや30ぷんと出てきたのですが、時間の数え方のことでしょうか?」
あ、そこも説明いりますよね?
だって異世界だもん。




