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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編4森の中へ
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第144話 知りたかったこと

「お邪魔するよ~。結構元気そうだね~。よかったよ~。」



「失礼する。具合はどうだ?魔素酔いは最初が1番キツイからな。」



 メルバさんとルシェリードさんが交互に(いた)わってくれる。

 弱った時って、こういう労わりの言葉がありがたいよね。社交辞令じゃないのがわかるから、余計にうれしいなぁ。



「大丈夫です。さっき食事もいただきました。美味しかったです。」



「それはよかった。」



「うんうん。しっかり食べれたみたいだね~。もう大丈夫かな。ね?ディーくん?」



「はい。魔素も先程よりさらに安定されてますし、流れが穏やかです。食事での補給も問題なく終わったようですね。もう大丈夫でしょう。」



 前半はメルバさんに向かって、後半は私に向かってフェラリーデさんが説明してくれる。

 よかった。自分で大丈夫って思ってても、お医者さんに言われると安心するよね。



 肩から力が抜けて立てかけていた枕にもたれる。

 緊張が一気に抜けた。



 目を見るだけとはいえ、告白まがいのことしちゃったから力入ってたんだなぁ。

 私の様子を見て、クルビスさんが腰を浮かしたけど、ルシェリードさんに押しとどめられていた。



「大丈夫だ。我が孫よ。気が抜けたのさ。ハルカは魔素酔いは初めてだろう?医者に言われりゃ安心する。」



「はい。力が抜けちゃいました。」



 私とルシェリードさんのやり取りにクルビスさんも納得したみたい。

 ホッとして見えるのは気のせいじゃないんだろうな。心配ばっかりかけてるかも。



「さて、ちょっと、椅子持ってこようか。話したいことあるし。」



「長。あまり長くは…。」



「うんうん。おっけー。ハルカちゃんも疲れてるもんね。あーちゃんのこととかいろいろ聞きたいこともあるんだけど、とりあえず、これからのことをね。話そうか。」



 それまでの高いテンションが一気になりを潜め、静かな穏やかな空気が回りを満たす。

 どっちが本当の顔なんだろう。さっきまでの高いテンションも不自然じゃなかったし、謎すぎる。



 あー兄ちゃんなら知ってるのかな。

 聞けるかわかんないけど。



「単刀直入に言うと、ハルカちゃんは帰れない。…僕たちエルフが帰れなかったように。」



 1番にそれがきましたか。

 ホントに単刀直入だ。



 でも、それくらいでちょうどいい。遠回しなのは好きじゃない。

 ある程度予想してたし、それが外れてなかったってだけだ。



 …確定したんだ。帰れないって。

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