第140話 海藻サラダ
パスタを飲み込むと、こんどは海藻サラダに手を伸ばす。
どんな味なんだろう?
シャクッ
一口目で軽快な音が口の中で響く。
なんか、シャキシャキした海藻だなぁ。
触感は、レタス?
でも、味は海藻っぽい。
ものすごく味があるわけじゃないんだけど、ヘルシーな感じっていうか、パスタの後の口の中がすっきりするかも。いい組み合わせだなぁ。
ん?いま、すっごくさわやかな香りが口から鼻に抜けてった。
…すだち?すだちだっ。
一気に和風になったな~。さっきから、知ってる味のオンパレードなんだけど、偶然、だよね?たぶん…。
サラダには酸味のあるドレッシングがかけられていて、それがまたさっぱりした感じを強調している。
色もカラフルで綺麗だし、サラダだけでも楽しめそう。
果物はもう味を知ってるし、デザートにしたいから後にとっておこう。
よし、じゃあパスタから攻略するかっ。
「口にあったようだな。よかった。」
ふと聞こえたクルビスさんのつぶやきに手が止まる。
思わずクルビスさんを見ると、クルビスさんが驚いた顔をしてこちらを見ていた。
「どうした?何か口に合わなかったのか?」
さっきの聞こえてないと思ってたのかな?
気を遣われてるし、美味しいですって伝えとこう。
「大丈夫です。美味しいです。…お気遣いありがとうございます。」
にっこり微笑んで言うと、クルビスさんは明後日の方向を向いてしまった。
…そっぽ向くときは照れてるんだよね?
かわいいなぁ。
男性にかわいいは禁句だって言うけど、女にとって相手をかわいいと思えるかどうかって重要だと思うんだよね。特に近寄りがたい男性の場合。
クルビスさんって話したら紳士で優しくて気さくだってわかるけど、見た目は大きくて強そうで近寄りがたいもんね。
こういうところがあると、話しかけやすいっていうか、近寄りやすいよね。
微笑ましい気分になりながら、私はお腹に催促されて目の前のパスタの攻略にとりかかることにした。




