第135話 異世界の飲み物
口の中が甘すぎて、収まってた吐き気がまたぶり返したみたい。
うっぷ。
「ハルカさんっ。さあ、こちらを飲んでください。口の中がすっきりしますよ。」
え、もう飲み物は…いい匂い。
薫り高いっていうか、香ばしいっていうか…。
香りに誘われて、差し出されたカップと手に持ってたカップを交換する。
紅茶みたいな香りだけど、なんでピンク色なんだろう…。
これ、完全に見た目がいちごミルクだよね。
これを今の私に飲めと?フェラリーデさんは知らないんだろうけどさ。
「さあ、一口だけでも。」
控えめにフェラリーデさんが勧めてくれる。
せっかく用意してもらったんだし。いただこうかな。
(これはお茶。これはお茶。色的にもいちごミルク似で抵抗はないない。)
意識して自分に言い聞かせ、カップを傾けて一口。
…おいしい。
味は紅茶だなぁ。すっごく美味しい。
お店で入れてもらった紅茶みたい。
コクコクッ
私がお茶を飲み始めると、フェラリーデさんがホッとした顔をする。
ご心配おかけしてすみません。
しかし、ピンクの紅茶か…。
まあ、さっきの薬に比べたら許容範囲かな。
(ポム茶は普通の色だったのになぁ。もしかして、飲み物の種類ごとにカラフルに色が分かれてるとか?)
異世界の飲み物って謎が多いなぁ。
お昼ご飯は普通に美味しかったけど、あれはたまたまだったのかな?
「ごちそうさまでした。とてもおいしかったです。」
「お口にあったようで何よりです。ご気分はどうですか?」
「はい、さっきよりすっきりしてます。美味しいお茶ですね。」
私がそう言うと、フェラリーデさんは微笑んだ。
うわ、美人が微笑むと威力が…。
「どうかされましたか?」
「いえ、ちょっと、まぶしいなぁ…と。」
美形の微笑みに目がくらんだのがバレました。
私が視線を外しながら答えると、フェラリーデさんは部屋の壁の所に行って何かしだした。
すると、部屋の明かりがちょっと暗くなる。
あ、ちょうど良いかも。結構明るかったんだなぁ。
でも、ここどこなんだろう?
広さはフェラリーデさんと最初にお話しした部屋の3分の1ってとこかな。6畳くらい?
「ハルカさんも光に弱いのですね。我が一族と似ていらっしゃる。
後で日よけを持ってきましょう。窓に取り付けましょうね。しばらくはこちらの部屋にいていただきますから。」
あ、例の病室ですね?ここが私のお部屋になるのか。
壁に埋め込んである棚と大きなベッドが1つあるだけ。シンプルな部屋だなぁ。
まあ、病室だもんね。
壁には取ってが2つ付いていて、その周辺がうっすらと四角く線が入ってるように見える。
もしかして、窓なのかな?
入口みたいに跳ね上げ式の。
今は2つとも閉まってるけど、外は暗いのかな。
どれくらい寝てたんだろう?




