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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編4森の中へ
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第132話 ヒナは珍しいらしい

「セパのヒナだ。ハルカが保護した。野生のセパらしいが、親とはぐれたみたいだな。」



「えっ。」



「うそだろ…。」



 クルビスさんの説明にルシン君は口を開けて絶句し、ヒーリ君はヒヨコもどきを凝視した。

 この子の親ってそんなに似てないのかな。大きさはだいぶ違うみたいだけど。



「プギッ。」



 その視線を受けて、ヒヨコもどきは私の手の中で踏ん反り返る。

 …この子何でこんなエラそうなんだろう?ちょっと将来が心配だなぁ。



「ふふ。さて、とりあえず、ワースとヒーリは北の守備隊に行こうね~。転移の準備しとくよ~。ディー君見といてあげてね。」



 メルバさんがそう言って部屋から出ていく。

 フェラリーデさんはそれに頷いて、私たちの傍についた。



「ハルカさんも転移で戻りましょう。長なら数は関係ありませんから。」



 あ、そうですね。私の髪って人目についたらまずいですもんね。

 今はフード取れちゃってますから、この子たちには見られてますけど。



「はい。お願いします。」



「フードは念のため被っておいて下さい。」



 フェラリーデさんの忠告に頷いてフードを被りなおす。

 視線を感じて見てみると、ルシン君とヒーリ君がこっちを見てた。



(なんだろう?すごい見られてる。)



 不思議に思いながらも微笑み返す。

 必殺、愛想笑い!…言うほどじゃないけどさ。



「姉ちゃん。クルビス兄ちゃんの嫁さん?」



「は?」



 思わず聞き返しちゃった。

 頭の中が真っ白ですよ。



 だって、何でそんなセリフが出てくるの?

 クルビスさんと共鳴する時に手繋いでたのがまずかったかなぁ。



 こんなことで迷惑かける気ないのに…。

 とにかく、否定はしとかなきゃっ。



「だって、そうでしょ?髪も黒だし…。」



「だめだよ。ヒーリ。いきなり聞くのは失礼だよ。」



「え?普通だろ?…ああ、そうか、ドラゴンの一族は当事者が先に知らせるんだっけ。」



「…他の一族は違うの?」



「当たり前だろ…って、そっか、まだ習ってないんだ?」



「うん。各一族の習慣に関しては、今度の休みが終わってからだって。」



「うんうん。それくらいだよな。」



 私が否定する前にどんどん話が逸れていく。特に興味ある話題だったわけじゃないのかな。

 ここで下手に突っ込んだら、話が戻っちゃうよね。そっとしとこ。



 秘かにホッとしてると、今度は後ろから視線が…。

 振り返ると、クルビスさんと目が合った。何か御用ですか?

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