第132話 ヒナは珍しいらしい
「セパのヒナだ。ハルカが保護した。野生のセパらしいが、親とはぐれたみたいだな。」
「えっ。」
「うそだろ…。」
クルビスさんの説明にルシン君は口を開けて絶句し、ヒーリ君はヒヨコもどきを凝視した。
この子の親ってそんなに似てないのかな。大きさはだいぶ違うみたいだけど。
「プギッ。」
その視線を受けて、ヒヨコもどきは私の手の中で踏ん反り返る。
…この子何でこんなエラそうなんだろう?ちょっと将来が心配だなぁ。
「ふふ。さて、とりあえず、ワースとヒーリは北の守備隊に行こうね~。転移の準備しとくよ~。ディー君見といてあげてね。」
メルバさんがそう言って部屋から出ていく。
フェラリーデさんはそれに頷いて、私たちの傍についた。
「ハルカさんも転移で戻りましょう。長なら数は関係ありませんから。」
あ、そうですね。私の髪って人目についたらまずいですもんね。
今はフード取れちゃってますから、この子たちには見られてますけど。
「はい。お願いします。」
「フードは念のため被っておいて下さい。」
フェラリーデさんの忠告に頷いてフードを被りなおす。
視線を感じて見てみると、ルシン君とヒーリ君がこっちを見てた。
(なんだろう?すごい見られてる。)
不思議に思いながらも微笑み返す。
必殺、愛想笑い!…言うほどじゃないけどさ。
「姉ちゃん。クルビス兄ちゃんの嫁さん?」
「は?」
思わず聞き返しちゃった。
頭の中が真っ白ですよ。
だって、何でそんなセリフが出てくるの?
クルビスさんと共鳴する時に手繋いでたのがまずかったかなぁ。
こんなことで迷惑かける気ないのに…。
とにかく、否定はしとかなきゃっ。
「だって、そうでしょ?髪も黒だし…。」
「だめだよ。ヒーリ。いきなり聞くのは失礼だよ。」
「え?普通だろ?…ああ、そうか、ドラゴンの一族は当事者が先に知らせるんだっけ。」
「…他の一族は違うの?」
「当たり前だろ…って、そっか、まだ習ってないんだ?」
「うん。各一族の習慣に関しては、今度の休みが終わってからだって。」
「うんうん。それくらいだよな。」
私が否定する前にどんどん話が逸れていく。特に興味ある話題だったわけじゃないのかな。
ここで下手に突っ込んだら、話が戻っちゃうよね。そっとしとこ。
秘かにホッとしてると、今度は後ろから視線が…。
振り返ると、クルビスさんと目が合った。何か御用ですか?




