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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編4森の中へ
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第125話 リードとの再会 (クルビス視点)

「リード。いきなりすまない。長様も、ありがとうございます。」



「いいえ。これが私の仕事ですから。」



「いいよいいよ~。なんか大変みたいだね?」



 すでに転移を終えていた2つが俺を出迎えてくれる。

 この速さは長の転移だろうな。短時間に何度も使える術ではないはずだが、疲れているようにはまったく見えない。さすがだ。



 リードはいつもの微笑みを浮かべて、穏やかに迎えてくれた。事情もろくに説明出来ない状態での急な呼び出しだったのに、嫌な顔1つせず出迎えてくれる。

 信用してくれているということだろう。ありがたい。




「ええ。昼に喧嘩がありまして、その片方に70ほどの子供がいるのです。しかし、様子がおかしいらしく、ルシンが言うには自分と同じ状態だと。朝から上手く動けない状態で無理をしたようです。」



「そんな子供が喧嘩を…。」



「…手を出していた。俺が森に行く前に取り押さえたんだ。」



 俺の説明にリードが目を見開いて絶句している。

 俺も現場に行って驚いたからな。気持ちはわかる。



 ルシェモモで手を使った喧嘩は重罪だ。子供の喧嘩でも手が出ることはまずない。

 技術者の街だからだろう。『手を大事にしなくてはいけない』と小さな子供のころから教え込まれるからな。



「それは大変だね~。事情は話したの?というか、話せるの?」



「それは俺からご報告します。」



「あ、シー君。お願いできる?」



「よろこんで。その子供は、クルビス隊長に取り押さえられた後は、おとなしく詰め所に連れていかれたようです。その時は自分でしっかりと歩いていたと隊士が証言しています。

 ですが、その後、詰め所で調書を取ろうとしたところ、喧嘩をしたことは認めたそうですが、理由を話そうとしませんでした。それで、それ以上調書が進まず困っていたそうです。

 そこに、そのドラゴンの少年が「話さないのではなく、話せないからだ」といい、自分と同じ状態だと訴えました。それを聞いて、クルビス隊長がお二方をお呼びするようにと指示を出しました。」



「この子が?」



「こんにちは。リード隊長ですよね?ぼく、ワースって呼ばれてます。」



「こんにちは。ワース。長が森で治療した子というのは君かな?」



「はい。でも、ぼくと同じように動けない子がいるんです。治してあげて下さい。」



「もちろんですよ。それが私の仕事です。」



 リードがルシンと微笑ましいやり取りをしている。

 それを横目に確認しながら、長の言葉に耳を傾ける。



「なーるほどねぇ。…それって子供の喧嘩?もう片方は?」



「いいえ。片方は個立ちしてます。…ルシンの兄です。」



「はい。僕の兄です。兄も何故か話さなかったみたいなんですけど…。でも、今は話してるみたいです。僕が見つかったからだって。」



 ルシンが困った顔で話す。おそらく自分が原因だと思ってるんだろう。

 あの後で話し始めた様子からしても、間違ってはいないだろうな。



「橋の所に来た時、詰め所から飛び出してきました。ルシンを見た後、安心したように詰め所に戻って、話始めたそうです。今、調書を取ってます。」



「うーん。そっかあ。ありがと。ディー君、その子の様子見てみようか。」



「はい。」



「あ、ルシンも来てくれる?その子の様子見て、何かわかったら教えて欲しいんだけど。」



「お姉さんも一緒がいいです。声が聞こえたみたいなんで。」



「ハルカちゃんも?」



「えっと…。泣き声がさっきから聞こえてて、気になって…。」



 ハルカが自身なさげにつぶやくように言う。

 その様子を見て、長が思い付いたように言った。



「じゃあ、クルビス君も来てくれる?君たち2つの方がいいだろうし。」

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