第124話 詰め所への移動 (クルビス視点)
「じゃあ、詰め所に行くか。ルシン降りれるか?」
「はいっ。っんしょ。降りました。行きましょうっ。」
ルシンは祖父さんの背から降りると、詰め所の方へ駆け出す。
それを見てハルカも俺に「降りる」と言ってきた。
「フードはちゃんと被ってますから。」
そう言って、いそいそと俺の腕から降りて行った。
まあ、森は抜けたし、橋のところで降ろすつもりだった。…だったんだが、何もそんなに急いで降りなくても。
ハルカが俺から離れて身支度を整えるのを見ながら、妙に納得のいかない気分でいると、祖父さんに肩を軽く叩かれた。
何故か先に行っていたルシンも戻ってきていて、うんうんと頷いている。
「我慢しろよ。今日会ったばかりなんだ。」
ハルカには聞こえない大きさで声をかけられる。…我慢出来ない様に見えたのだろうか?
やはり俺にはドラゴンの血が濃く出てるのかもしれない。自重しなくては。このままだとハルカを囲い込んで離せなくなる。
「お待たせしました。行きましょう。」
「プギっ。」
手にセパのヒナを乗せてハルカがこちらにやってきた。ヒナがふんぞり返って見えるのは気のせいじゃないだろう。
こいつのことを忘れてた。ずいぶん静かだったが…お前今まで寝てたな?起きなくていいんだが。
「寝てたんですけど、起きちゃったみたいで。入れてた所から出ようとするので、落ると危ないから持っています。」
「急ぐぞ。もうメルバたちが転移してきてるだろう。クルビス。お前が先に行け。」
祖父さんの一声で全員で詰め所に向かう。俺が先頭で、次がハルカ、ルシン、最後が祖父さんだ。
早くリードたちと合流しなくてはならない。長の転移を見た後ならわかる。祖父さんの話は十分あり得ることだ。
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「クルビス隊長。リード隊長と深緑の森の一族の長様が転移の間でお待ちです。」
「わかった。俺の後ろの3つも同行する。」
「了解いたしまし、た。…ルシェリード様もご一緒でしたか。」
「久しいなガソン。邪魔するぞ。」
「お久しぶりです。よくおいで下さいました。どうぞお通り下さい。」
ガソンの傍を抜け、入口横の転移の式が描かれている部屋に向かった。




