第11話 麗しのエルフ
緑の髪の美しいエルフはこちらを向いて酷く驚いた顔をしたけど、すぐに柔らかい笑みを浮かべて近づいて来た。
「°$☆%$?°%☆$#。…¥%、♪¥#☆¥%☆?」
綺麗な顔がこっちを向いて視線が合う。
うわあ。お人形さんみたい。キレーな顔。
「あ、あの…。すみません。私、言葉がわからなくて…。」
緊張しながら思わずそう言った。
通じないのはわかってたけど、何も返さない訳にはいかなかった。
社会人だから、丁寧に話しかけられて無視は出来ないんだよね。
言葉が通じないのは、早くわかってもらえた方が良いし。
まぁ、ちょっと舞い上がったのは認めるけどね?
だって、こんなに綺麗なエルフに話しかけられたんだもん。
言葉が通じないのがわかったのか、緑のエルフはハッとした後、黒いリザードマンに何かを言って、私に手振りでイスを指した。
座って良いってことよね。助かった。
もう足が限界。
私とリザードマンは勧められたイスに座って、緑のエルフは奥のドアに消えていった。
…しばらくして、緑のエルフがお盆に丸いものとカップを3つ乗せて戻ってきた。
イスの前にあるテーブルにお盆を乗せて、私たちと反対側に座る。
丸いものの上に付いてる取っ手を持ち、カップのうちの1つの上に置くと、丸いものの上の部分を押す。
すると、押した部分が凹んでカップの方で水音がした。
(…もしかしてポットなのかな。これ。)
おばあちゃん家に昔あった、上の部分を押してお湯をだす湯沸かしポットを思い出す。
こっちのポットの方が押しやすそうだけど。
緑のエルフは他の2つも同じようにしてから、カップを私たちと自分の前に置いた。
喉が渇いていたので、ありがたくいただく。
「ふうっ。美味しいっ。」
香り高い爽やかな香りが鼻を抜けていく。
ミントティーに似てるかな。
「ふふっ。それは良かった。」
…緑のエルフが私に笑う。
誰もを魅了するだろう微笑みで。
(わーっ。わーっ。素敵な声っ。
落ち着くわ〜。癒しの声って感じ…って、待てよ?)
美形の微笑みと癒しのオーラにテンパりながらも、違和感の正体に気付く。
…あれ?言葉がわかる?