第97話 捜索の前に (クルビス視点)
「ハルカ殿。こちらへ来たばかりだというのに、勝手を言って申し訳ない。あなたの快い返事に感謝する。」
「お気になさらないで下さい。その子の姿を目撃した縁もありますし、足手まといでしょうが、出来る限りのことをさせていただきます。後、ハルカで結構です。」
祖父さんが胸に手を当てて正式な礼をする。それを見て、ハルカは微笑んだ後、助力を約束する返事を口にした。
祖父さんが、ハルカをしみじみと眺める。彼女の言葉にウソ偽りのないことは、魔素で確認済みだろう。彼女に微笑んだ後、俺をチラリと見て口を開いた。
「では、ハルカを呼ばせてもらおうか。ハルカ、助力の申し出、ありがたく受けとらせてもらう。
クルビス。ハルカを運んでやれ。俺とお前の進む速度じゃついてこれないだろう。」
祖父さんが俺に命じる。言われなくてもそうする気だったが。
ハルカを見ると、何をいまさらという感じで不思議そうにしていた。ここまで俺が運んでいたしな。
「はい。ハルカ、おいで。」
ハルカに向かって両手を広げると、手の平にヒナを乗せたままハルカがこちらにやってきた。
この先、手は空いてた方がいいんだが…。しかし、そうするとヒナを入れておく場所がない。
リードなら外に出た時何かしら持ってるんだが、俺は武器を持つ以外は極力手を空けておくからな。
まあ、いい。大丈夫だろう。
「お願いします。」
「ピギッ。」
2つに頷きを返して抱きかかえると、祖父さんがこちらを見ていた。
「そういえば、そのヒナってセパのヒナだよな?何でハルカが持ってるんだ?」
「ポムの実の生ってる所です。弱ってたのを私が見つけました。」
そういや、祖父さんにヒナのこと話してなかったな。連れて帰ることも報告しておくか。




