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トカゲと散歩  作者: *ファタル*
本編4森の中へ
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第86話 変化した場所 (クルビス視点)

「こんな…酷い…。」



 それきりハルカは言うべき言葉を無くしたようだった。

 その様子から彼女が見た光景とはかなり違うのだと察しがついた。



 何があったというんだ。

 今の透視の術の感度ではわからないな。



 透視の術を調整して、もう少し微量の変化もわかるようにする。

 その上で見回してみると、実をつけた分、ポムの木自体の魔素の量は通常よりすこし少ないくらいだった。



 枝に意識を向けると、ポムの実の辺りに魔素がたまっているのがわかる。

 すごいな。これだけの実に取り囲まれるなんてそうそうないことだ。



 10や20ではきかない。

 ざっと見ても…100はあるな。



 …報告しても信じてもらえそうにない数だ。

 俺だって話を聞いただけなら、そんなばかなと思うだろう。



 この異常な数のポムの実は何で出来たんだろうな。

 ポムの木を見ても実で魔素の調整をした後にしか見えないしな…。



 これ以上は俺では無理だな。

 深緑の森の一族の専門家に任せた方がいいだろう。



 それより、問題なのは…。

 あの折れた枝だ。



 無残に引き裂かれた跡が生々しい。

 風でこうなったのではないな。



 もう少し、集中してみるか。

 俺はポムの枝を見ながら、魔素を体内で練り上げて目に集中させた。



 枝の折れた部分を詳しく見ると、ポムの木とは違う魔素の跡が見られた。

 あれが原因か。あの感じだと何かが枝を引きちぎっていったようだな。



 色は、紫に薄青…それに、『銀』だった。

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