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彼女の彼女

 ミサキは激痛で床の上でのた打ち回る俺に馬乗りになって怒鳴りつけて来た。

 

「誰の指示でやっとる? また賭けか!?」

 

 俺の頬に激しいビンタが飛ぶ!

 

 バチン!と耳の奥まで激しい痛みと衝撃が伝わった。

 

 耳が軽く、キーン!と鳴る。

 

「わけわからん! 何、言ってるんだ!?」

 

 言ってる事の意味が解らなかった。

 

 女は訳の解らない事を続けて言う。

 

「遊びか! また遊びなんやろ!?」

 

 再び激しいビンタが顔を襲う!

 

 凄まじい衝撃で一瞬意識が飛びそうになった。

 

 女はお構いなしに力の限り俺にビンタを加えて来た。

 

「言ってる意味が解らねーって!!」

 

「白状しろ! 誰に言われてモアに手を出したんや?」

 

「そんな奴知らんし、言ってる意味がさっぱり解らない!」

 

 この女は、何を言っても聞き入れてくれない。

 

 俺は渾身の力でミサキを振り落とす。

 

 強いと言っても体格差の有る女だ。

 

 男の俺が本気を出せば、体重の軽い女を振り落とすのぐらいは簡単だった。

 

 俺はミサキを振り落とすと、両腕を掴み床に押し付け、逆に馬乗りになった。

 

 これで殴られる事は無くなった。

 

 でも、ミサキは激しい力でもがいていた。

 

 ミサキの方が圧倒的に不利な状況になっているのに、それでも俺に問い詰めて来た。

 

「白状しろ! 誰に言われて、モアの恋人役をやってるんや!」


「お前の言っる事の、意味わかんねーよ! 俺はモアが好きだから告白したんだ! 悪いか!」


「嘘つけ! また遊びでモアを賭けの対象にして落せるかどうかで遊んでるんだろ?」


「するか! そんな事! 俺はモアと小学校の時に同じクラスで気になってたから、告白しただけだよ! お前はただの女友達って聞いてたのに、こんなに嫉妬するなら告白なんてしなかったよ!」


「好きだから、モアに告白したって言うのか?」


「そうだ、好きな子に告白するのが何が悪い! でも、モアちゃんは俺が彼氏になる事でお前と別れたくないって言ってたから、俺がお前とも友達となる事を条件で、俺を彼氏にしてくれたんだ。でも、お前は俺と友達になる気は無い様だから、俺はモアちゃんに彼氏になるのを辞退してくるよ!」


 俺の身体の下で暴れていた、ミサキの力が急に失せた。

 

「そうなのか……いきなり殴ってすまなかった」

 

「解ってくれたならいいよ」

 

「すまないが、私の上からどいてくれないか?」

 

 その言葉を言われて、女の子に馬乗りになっていると言う、とんでもなく卑劣な行為をしている事に気が付いた。

 

「うわっ! ごめん」

 

 俺は飛び退くようにミサキの上からどいた。

 

 俺達は立ち上がると、階段まで行って座って話し始めた。

 

「おまえ、本当にモアの事が好きなのか?」

 

「そうさ、好きだから告白した」

 

「それは純粋な愛なのか?」

 

「言ってる意味が解らないんだけど、多分純粋な愛だ」

 

「もう少し解りやすく言うぞ。モアにキスをしたくはないのか?」

 

「それはしたい」

 

「下心丸出しじゃないか……。じゃあ、言葉を変えてもう一度聞く。エッチはしたくないのか?」


「それも、ゆくゆくはしたい」


「お前は、モアとエッチしたいが為に、モアに近づいたんだろ? 解った。私がお前の性欲処理の犠牲となってやろう」


「はぁ?」


 何言ってるのこの子?

 頭大丈夫か?


 目の前の少女はブレザーを脱ぐと、Yシャツの首元を結んでいるボルドー色の細リボンを解き、Yシャツのボタンを外し始めた。

 

「ちょっ! お前何やってるんだ?」

 

 Yシャツのボタンをすべて外し、胸元をはだけさせたミサキは言った。

 

「やれ! 揉みしだくなり、吸うなり、しゃぶるなり、好きにしろ!」


 ミサキの開かれたYシャツのボタンの隙間からは、膨らみを包み込んだ白いブラジャーが覗いている。


 可愛らしい胸だった。

 

 そして、ミサキは歯を喰いしばって目を閉じていた…………。

 

 俺は胸にそっと手をやり…………ボタンを閉じはじめた。

 

 さすがに歯を喰いしばってる少女の胸を揉む事なんて出来ない。

 

 俺ははだけた胸のボタンをそっと閉じてやった。

 

 目を開けたミサキが驚いた表情をしている。

 

「悪いな。俺はモアちゃんがいいんだ。あの子と居ると心がほっとするんだ。それに、そんなに歯を喰いしばって嫌がってる子の胸なんて、頼まれても揉めないさ」


「おまえ意外といい奴だし……本当にモアが好きなんだな。お前にモアを任せていいか?」


「任せろよ、俺は必ずモアを幸せにしてみせる」


「頼んだぞ」


 その時、階段の下の方からモアちゃんの声が聞こえた。

 

「ミサキちゃん~? タモツくん~? おっかしいな~。こっちに来たって聞いたんだけど、どこ行っちゃったのかな~?」


 階段を昇って来る足音が聞こえた。


 ミサキが叫んだ。


「やばい! 着替えろ!」


「俺、脱いでないし。お前、胸はだけたままだろ! 早く服着ろよ!」

 

「のあ~!!」

 

 ミサキは大慌てで服を着たが、慌てたのでシャツのボタンが胸元で一つずれていた。

 

「2人とも、ここに居たんだ。何してたの?」

 

「ああ。タモツがな学校の中が解らないと言ってたから、案内してやってたんだ」

 

「そっか~。私も一緒に回りたかったな」

 

 モアがおっとりしている子で良かった。


 勘の鋭い子なら、Yシャツの胸元のズレているボタンを見て、変な詮索をされてしまうとこだ。

 

「あ、授業始まるから、早く戻ろうよ!」

 

「そうだな。急いで戻ろう!」

 

 俺達は3人で、慌てて教室へと戻った。

 

 俺は、モアとミサキの二人と仲良くなれた気がした。

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