小さな体と大きな道
今日の学校はお昼まで。
早く帰りたいな。
「はーい、じゃあ、今から算数のテストを返しまーす」
この前したテストだ。
ちゃんとできたかな?
…和にいはテスト出来てないと怒ったりするのかな。
「天野優さん」
「はーい」
「よく出来ましたね」
「せんせー、ありがとう」
えへへ、100点だ。
和にいに自慢しよっと。
…とれて当り前なのかな?
褒めてくれるかな?
お母さんはそれが普通って言ったけど、和にいも言うかな。
「「さようなら」」
終わったなー。
早く帰ろっと。
おーい、不倫の天野ー。
今日は違う男に会いにでも行くのかー
うるさい。
そう思ったけど、言えない。
これ以上学校で何かされたくない。
それに怖い。
無視無視。
……。
早く帰ろっと…。
「ただいまー」
なーんだ、和にいはまだ帰ってないんだ。
暇~。
でも、お母さんの家にいる時よりずっといい。
心が楽って言うのかな。
よし、宿題終わらせよっと!
「ただいま」
あっ、和にいだ!
「おかえりなさい」
「あれ、今日は午前授業だったっけ?」
「うん、そうだよ」
そうだ、テスト!
「ねーねー」
テストを広げる準備をした。
「みてみて、テスト100点!」
普通かな…?
「本当だ、すごいな!」
和にいはそう言って、優の頭を撫でてきた。
「えへへ」
「よく勉強頑張ったな」
今、和にいと一緒にテレビみてる。
アマトーークって言う番組なんだけど、和にいは、この番組すごく好きみたい。
だから、優もこの番組が好きなんだ。
「あっ、今日はバイトがあるからお留守番してて」
「うん、お留守番まかせて」
お留守番なら昔から慣れてるから、だいじょうぶ。
和にいが立ち上がった。
そろそろ仕事の時間かな?
「んじゃ、行ってくるよ」
「行ってらっしゃい!」
「ピンポンがなってもいないふりだから」
「わかった!」
そのくらいわかるもん。
和にい、行っちゃったな。
何しようかなー。
テレビ、みよっと。
アマトーークは、全部みちゃったな。
リモコンで他に録画されてる番組をチェックする。
ん?
「本当にあったような怖い話」って、なにかな?
ドラマとかかな?
みてみよっと。
…。
この写真の左端をみてください。
ここに大きい手が写ってるでしょ。
…きゃー!
「ーーー!」
何これ、すごく怖い…。
…!
カーテンしとかないと…、もしかしたら。
慌ててカーテンを閉める。
キー…。
…!!
トイレのドアが勝手に…。
怖い、隙間も空いてるし…。
慌ててトイレのドアも閉める。
はあ、ヤバい。
和にいの仕事は、あと2時間もあるんだ…。
他のテレビでもみとこっかな。
「うぅ…」
怖くて、テレビみる所じゃない!
…和にいの仕事先に行こうかな。
場所は、前一緒に行ったから覚えてるし。
準備しなきゃ。
カバンを取り出し、荷物を入れる。
「お金と筆箱と…他に何かいるかな?」
…まぁ、いっか!
玄関を出て、ドアに鍵をかける。
準備満タン、しゅっぱーつ。
…外は暗くて怖い。
でも、和にいのとこに行くって考えると。
わくわく~。
道にお星さまのように光輝いてる。
きれいだな~。
そんなことを思いながら、和にいの仕事先まで歩く。
「…よいしょ」
あと少しで着く。
やっぱり、何も言わないで行くってびっくりかな?
「「いらっしゃいませー」」
おっ、和にいが後ろの方に!
気付くかな。
和にいに向かって手を振ってみる。
…見えてないのかな。
いやいや、忙しいのかも。
でも、気付いてほしいな。
気付くまで振ってやるっ!
ブンブンブンブン。
あっ、びっくりしてる。
えっへっへっへ~。
和にいも手を振り返してくれた。
和にいが急ぎ足で向かってきた。
怒ってるのかな?
和にいは手を引いて、お店の奥の部屋に連れてかれた。
「どうしてここに来た?」
駄目だったのかな…?
「だって、和にいのとこに来たかったんだもん」
「そうじゃなくて、こんな夜遅くに1人で歩いてたら危ないだろ」
「だって…」
お化けとか、怖かったし。
トイレの扉、自分で開くし…。
「だってじゃない」
「…ごめんなさい。ちょっと怖かったんだもん」
怖かったし、和にいしか頼れないもん。
「怖くても暗い道を1人で歩くよりは、家の方が安全だから」
「はーい」
帰る準備をしよっと。
怖いけど、我慢…。
「和にい。」
やっぱり待っていい?
そう言いたかったけど、疲れてる顔してるからやめとこ。
「お仕事頑張ってね」
「ありがとう。ちょっと待って」
ん?忘れ物でもしちゃったかな。
ぽんぽん。
「言っただろ、暗い道を1人で帰るのは危ないって。あと少しでバイトが終わるから、ここで待ってて」
「えっ。あ、うん、わかった!」
やったー!
「んじゃ、おとなしくね」
…毎回ここに来て、待とうかな。
なんちゃって。
ぼー。
眠たくなってきたー。
まだかなー。
がちゃ。
和にいだ。
ガサガサ。
…はっ。
寝てた。
和にいの帰る準備ができたみたい。
「帰ろっか」
「かえるー」
1人で家から来たけど、帰りは一緒に帰ってる。
やっぱり、お留守番も慣れてるけど、さみしいな。
ずっと一緒にテレビでも、漫画でも、ゲームでも、勉強でも、なんでもいいから一緒に…。
「手、繋いでもいいー?」
「いいよ。ほら」
…あったかい。
「最近ねー」
今日あった出来事から思ったこと全てを伝えたい。
和にいに聞いてほしい。
だって、和にいは私の…。
「たっだいま」
「ただいま」
今日は疲れた。
たくさん歩いたし、和にいのとこまで行ったし。
「あれ、まだ食べてないの?」
わ、忘れてたー。
「う、うん、そうなの」
「そっか。じゃ、一緒に食べよっか」
「うん」
シャー。
キュッ、キュッ。
やっぱり、1人でご飯より一緒に食べる方がおいしいよね。
…眠たくなってきたな。
早くお風呂からでよ。
お風呂から出て、服を着てすぐに布団の中にもぐった。
和にいは、今からお風呂に入るみたい。
…一緒に入ろって言ったら、怒られるかな?
今度言ってみようかな。
すーすー。
こんばんわ。
読んでくださってありがとうございます。
読者の人たちにかんしゃー。
更新に1カ月あいてしまいました。
最近忙しいのが腹立たしいです。
録画したアニメとかがたまってしm…ゲフンゲフン。
まぁ、ゆっくりと更新していきます。
では。