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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第一章《TS転生しちゃいました!》

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第9話《施療》

 教会の司祭は村人を集め、広場の真ん中で祈りを始めた。

 床には熱にうなされる男が寝かされている。

 司祭は両手をかざし、聖典を唱えた。


「主よ、この者に癒しを……」


 


 だが何も起きなかった。

 男は苦しげに咳き込み、村人達は顔を見合わせた。


「だ、だめだ……」


「やはりこの病は……」


 司祭は冷や汗をかきながら、必死に祈り続けた。

 けれど病人の苦しみは和らがない。


 


 その時。

 誰かが小さくつぶやいた。


「……神の子に……頼むしかない」


 一斉に視線がナユへと向く。

 父と母は慌てて首を振った。


「この子はただの娘です!どうか……」


「頼むのはやめてください!」


 しかし村人は引き下がらなかった。


 


 布団に寝かされていたナユは、ため息をついた。


「……はいはい、結局こうなるのね。顧客の『この機能つけて』並みに無茶ぶりだわ」


 


 ナユは心の中で願った。

 ――目の前の病人が元気になりますように。


 


 次の瞬間、ナユから光が発せられ、光は淡い光となり男を包んだ。

 荒い息が落ち着き、赤かった顔色が戻っていく。

 やがて男は上体を起こし、驚いたように両手を見つめた。


「……楽に……なった……!」


 


 村人達から歓声が上がる。


「神の子だ!本物だ!」


「奇跡だ、奇跡を見た!」


 


 司祭はしばらく呆然としていたが、やがて跪き、ナユに頭を垂れた。


「……これは……神の御業。間違いなく“神の子”だ……!」


 


 ナユは小さな胸の中で、しっかりと日報をつける。


「今日の記録:病人を施療。やはり病気は願いで治せる……日報完了」


 


 こうして、教会は確信を持った。

 ――この村に現れた赤ん坊は、神に選ばれし存在である、と。

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