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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第一章《TS転生しちゃいました!》

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第54話《検査》

 石造りの塔の一室。

 壁には魔法陣を刻んだ円盤が並び、中央には木製の机が一つ。

 その上に、白布を敷いた小さな寝台が置かれていた。


 ナユはその上に横たえられている。

 まだ息は静かで、瞳は閉じたまま。

 けれど、意識ははっきりしていた。


 目を閉じながら、周囲の音を拾う。

 衣擦れ、靴の音、書き付けるペンの音――。

 すべてを、頭の中で整理していく。


「……魔力の流動は安定しています。異常値なし」


 白衣の男が報告する。

 その背後には、灰色の髪を撫でつけたフェルネが立っていた。


「そうか。だが、普通の子であれば“痕跡”は残るはずだ。どこにも反応がないというのは、逆に不自然だな」


 フェルネは机に手を置き、淡い笑みを浮かべる。

 その瞳の奥には、冷たい光が宿っていた。


「もう一度、魔力波を上げろ」


「し、しかし……この年齢では危険が……」


「構わん。観察だ。もしもの時は――“保護”と記録すればいい」


 研究員が躊躇いながらも、魔力装置の水晶を調整する。

 淡い光が塔の天井へと立ちのぼり、室内の空気が僅かに震えた。


 ナユのまぶたが僅かに動く。

 身体の奥で、何かが反応している。


 ――これが、魔力の流れ……。


 内側で何かが温かく回り、全身に広がっていく感覚。

 ナユは呼吸を浅くし、無意識のうちに魔力をゆっくりと収めた。

 光が揺らぎ、波形が静まる。


「……停止しました。まるで……自分で制御しているような……」


 研究員の声が震える。

 フェルネの笑みが、さらに深くなる。


「ほう……“赤子”が制御、か。面白い。やはり、ただの奇跡ではなかったようだ」


 フェルネは手を組み、静かに言葉を続ける。


「しばらく観察を続けろ。あの子の中に――“答え”がある」



 その様子を、ミナは扉の隙間から見ていた。

 小さな肩がこわばり、唇をかむ。

 ナユが苦しそうに息をしているのを見て、思わず一歩踏み出しそうになる。


 けれど、外の護衛が通り過ぎた音で、ミナは動きを止めた。

 ――今はまだ、助けられない。

 でも、いつか必ず。


 鐘が一つ、また一つと鳴った。

 塔の外で夜明けが近づく。


「今日の記録:塔の中で魔力検査。フェルネが“制御”に反応。ミナは外で見ていた。心配してくれてるのかな?敵の目的はまだ不明……日報完了。」

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