表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第一章《TS転生しちゃいました!》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/124

第47話《循環》

 静かな朝の光が、御屋敷の練習場に差し込んでいた。

 昨日の訓練の続き。

 ナユはまだ短い腕を前に出し、ゆっくりと呼吸を整える。


 ――昨日は“出す”事が出来た。

 なら、今日は“巡らせる”だ。


 セバスチャンの言葉を思い出しながら、胸の奥へと意識を沈めていく。

 心臓の鼓動に合わせて、微かな温かさが体を流れていった。


 やがて――。


 ナユの体から、淡い光が滲み出した。

 それは昨日、意識して生み出した“光の珠”とは違う。

 今の光は、制御も命令もなく、体の内側から自然に溢れ出ている。


「……これは……」


 セバスチャンの眉がわずかに上がった。

 魔力循環の結果として生じる自然発光――それは、通常なら十年単位の修行でようやく辿り着く領域。

 それを、まだ一歳にも満たぬ子が成している。


 流れは乱れず、暴走もない。

 呼吸のたびに、淡い光が脈打ち、空気が揺らぐ。

 まるで、生まれた時から魔力が肉体と調和していたかのようだった。


 セバスチャンはゆっくりと膝を折り、光を見つめた。

「やはり……このお方は、“導かれし才”をお持ちだ」


 その声音には、畏怖ではなく、純粋な敬意が宿っていた。


 


 ナユの小さな胸が上下する。

 魔力が体内を循環している感覚。

 熱くも冷たくもなく、ただ“生きている”ような力の流れ。


 ――これが、魔力の流れ……。

 おもしろい。

 もっと動かしたい。

 もっと知りたい。


 


 やがて光は静かに消え、部屋に再び静寂が戻った。

 セバスチャンは深く息を吐き、わずかに微笑む。


「見事でございます、ナユ様。……恐れながら、この調子であれば、数年で初歩の魔法に到達なさるやも知れません」


 


「今日の記録:魔力が体の中を回った。自分で動かしたわけじゃないのに、自然と流れて、光った。……前よりずっと軽い。これが“魔力循環”ってやつか? 日報完了。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ