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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第一章《TS転生しちゃいました!》

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第4話《救済》

 両親を救った後も、村の状況は何も変わらなかった。

 畑は枯れ、井戸の水も少なく、人々は日に日にやせ細っていく。


 家の外から、誰かのうめき声が聞こえてきた。

 飢えた子どもが母親の腕の中で泣いている。

 大人達も、立ち上がる力さえなくしていた。


 


 ナユは母の胸に抱かれながら、その光景をじっと見ていた。

 両親は助かった。

 けれど、このままでは村が滅びてしまう。


「……次は村を救わなきゃ」


 小さな唇から、ふにゃふにゃとした声が漏れる。

 赤ん坊の舌足らずな声でも、心の中ははっきりしていた。


 


 ナユは心の奥に強く願った。

 ――みんなが食べられるように。

 生きられるように。


 その瞬間、空気が震えた。

 またもや、ナユから光が溢れる。


「ナユ……やはり、あなたが……」


 ナユの家から溢れた光は、夜明け前の村を、まばゆい光となり広がっていく。



 枯れていた畑に、芽が次々と顔を出す。

 井戸の水が澄み、甘い香りを放つ。

 そして村の広場には、見た事のないほど大きな麦の山と、焼きたてのパンが現れた。


 


 村人達は目を見開き、次々に立ち上がる。


「な、なんだこれは……!」


「神の恵み……?」

「あの家から光が……!!」


 子ども達は歓声をあげてパンにかじりつき、大人達は涙を流した。


 


 その光景を見ながら、ナユは布団の中で小さく頷く。


「今日の記録:村を救済。飢餓すら願いで乗り越えられる。よし……日報完了」


 


 母は涙を流しながらナユを抱きしめ、父は祈るように頭を下げた。

 村人達の視線が集まり、やがて口々にささやく。


「この子は……神の子かもしれない」


 

 小さなナユの願いが、初めて村を救った夜だった。

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