表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第一章《TS転生しちゃいました!》

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/142

第3話《家族》

 干ばつと嵐で畑は枯れ、村の食べ物は底をついていた。

 家の中も寒く、鍋には水しか入っていない。


 父はやせ細り、母は横たわったまま動けない。

 小さなナユは、母の胸の鼓動が弱まっているのを肌で感じていた。


 


「……親が弱っていく……生前は両親はまだ生きていたが……目の前で亡くなられるのは、やはり辛いな……何とかならないものか……例えば、例の願いで……願いがあるじゃないか!!」


 ※当面は赤ちゃんなので「」内のセリフは全て赤ちゃん言葉です。



「俺は願う、この両親を助けてくれ」

 


 その瞬間、ナユから淡い光が溢れ出し家の中に広がった。


「ナ……ユ……?」


 空気が震え、どこからともなくあたたかな香りが漂う。


 干からびていた鍋の水が、ゆっくりと色を変えた。

 香ばしい湯気が立ちのぼり、具だくさんのスープに変わっていく。


 


 父が目を開け、驚きの声をもらす。


「……あ、あったかい……体が……楽に……!」


 母も息を取り戻し、震える手でナユを抱きしめた。


「ナユ……がやったの?……これは、夢かしら……」


 

 光が消えた後、神様の声がナユの頭の中に響いた。


『それが《願い》だ。君が心から望むなら、どんな望みでも叶う。死でさえ覆せる。ただし、一日に一度だけ。……それを忘れるな』


 


 ナユは布団の中で、赤ん坊らしからぬ心のメモを取った。


「今日の記録:両親を救った。願いは一日に一回。万能。死者蘇生も可能。……要するに、毎日一つ“日報”を書くようなものか」


 


 母はナユを抱きながら涙をこぼし、父は感謝を繰り返した。

 空腹も寒さも、しばらくは心配ない。


 だが、村の人々も飢えている現実は変わらない。

 次に救うべきは――両親だけでなく、この村全体だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ