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神様の手違いで死んだ社畜おっさん、まずは自由を願い、次に明日を願う!TS転生し美少女に!最強チート《願い》は一日一回だけど万能です!異世界スローライフで世界も人も未来も救ってみせます!  作者: 兎深みどり
第五章《黒き騎士来訪編》

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第206話《遠征》

 朝の教室は、ざわめきがまだ落ち着いていなかった。

 そこへ、ぱたぱたと小さな靴音が近づき、教壇にちょこんと立つ影が現れた。


「皆さん、静かにしてください。これから週末のことを説明します」


 リュミエルが両手を胸の前で揃え、きゅっと真面目な顔になる。

 幼い外見とのギャップはあるが、その声はいつも通りの教師のそれだった。


「今週末、冒険科、魔法科、騎士科の三科合同で『白脈山陵』へ遠征を行います。これは全員にとって大切な実地授業です。遅れないように、準備をしてくること」


 教室が一瞬で静まり返った。


「白脈山陵……?」


 ルゥが小さくつぶやき、ティトが不安そうに隣を見る。


「僕……山の遠征は初めてで……がんばります」


「大丈夫なのです。わたし達も一緒なのです、安心するのです!」


 ナユがいつもの調子で微笑むと、メリアもほっとした顔で続いた。


「気をつけて行けば大丈夫よ。協力すれば怖くないわ」


 リュミエルが頷く。


「三科合同ということは、普段関わらない子達とも一緒になります。だからこそ、周りをよく見て行動するの。特に白脈山陵は天候が変わりやすくて、足場も悪くなる事があるのよ」


 その言葉に、教室の空気がまた引き締まる。


「装備点検は必須です。あと、魔法の扱いも慎重に。……以上です。質問はあるかな?」




「……大丈夫そうね。それじゃあ、今日の授業はここまで。午後は自由に準備していいわ」


 リュミエルが教室を出ていくと、ざわめきが戻り、遠征の話題で一気に空気が明るくなった。

 ナユのテーブルにも、いつもの仲間が自然と集まってくる。


「ナユさん、装備……いっしょに見てもらってもいい?」


 メリアが軽く微笑みながら声をかける。


「もちろんいいのです!メリアさんの杖の固定具、前に少し緩んでいたのです。そこも見ておくのです!」


「そうね……直しておかないと、山では危ないものね」


 


 隣でルゥが元気に手を挙げる。


「ボクも手伝うよ!ナユさんの荷物、重くなりやすい所とか見てあげる!」


「助かるのです!ルゥ君は元気いっぱいで頼もしいのです!」


『ナユはアイテムボックスがあるから必要ないかと思われます』


「ミラ、しーなのです!」


 


 ティトが控えめに、しかし決意のこもった声で続いた。


「僕……料理の道具、持っていくから……前日にちゃんとまとめておくよ。みんなの分も作れるように……」


「すごいのです!ティト君のご飯は最強なのです!遠征がもっと楽しみになるのです!」


 ティトの頬がほんのり赤くなり、ルゥが嬉しそうに笑う。


「ティトの料理、山でも楽しみだよ!あっ、でも火の扱いは気をつけようね!」


「う、うん……気をつけるよ……」


 


 それぞれの声が重なり、三人の表情には遠征への不安と期待が入り混じっていた。

 ナユはそんな仲間達を見ながら、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。


 


 皆で行くのです。皆で帰るのです。


 そう思っただけで、自然と力が湧いてくる。


 


「今日の記録:白脈山陵の遠征準備を始めたのです!皆で力を合わせるのが楽しみなのです、絶対に安全第一で行くのです!日報完了!」

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